私たち群馬大学が中核機関となり、群馬県の未利用資源を最大限に活用して、これから10年~30年先を見据えた新たな産業を創生して育成するための拠点(G-C2REATE)を立ち上げ、その基盤となるをソフトウェア・ハードウェアの整備に取り組んでいます。
GXは声高に叫ばれていますが、未利用資源を活用しようとする動きは広がりを欠いています。その理由としては収集運搬その移動にコストがかかること、そして未利用資源からの生産品でコストを賄いきれないことなどがあげられます。
群馬県は全国でも有数の農産品生産量、畜産飼育頭数、森林資源を誇り、またこれを背景とした食品産業も活発な地域としての特徴を持っています。しかしこれらの産業から排出される農業残渣、畜産排泄物などの未利用資源は、化石資源以外で唯一の有機性炭素資源であるにもかかわらず、その価値は見いだせてはいないというのが現状です。つまりそれは地域外から多くの資源を調達する必要があり、その分だけ多大な経済的流出が生じているという事になります。
私たちはそんな現状を打破し近未来の化石燃料非依存の社会において高い商品競争力にもとづいた強靭な社会の実現をここ群馬から目指しています。
※G-C²REATE=Gunma/Green Circulation Center of Resources for Applications,Transformation, and Enterprise
群馬大学では、2024~2026年度群馬県企業局再生可能エネルギー・脱炭素化研究開発等助成金事業において、情報学部との連携を拡大したプロジェクト提案が採択されました。本プロジェクトでは、未利用資源を最初からエネルギーとして利用するのではなく、まず付加価値の高い材料へ転換し未利用資源を活用したGX新産業を育成しながら、材料として利用できない部分のみをエネルギーに活用することで、資源を無駄なく使うことができるだけでなく、事業としての収益性も高められると考えています。
本事業では、三つの柱を中心に取り組みを進めています。第一の柱は、未利用資源の収集・運搬システムの構築です。マイクロ水力発電や小規模太陽光発電を活用し、これまで利用価値が低いとされてきた小規模分散型の発電設備から電力を得ながら、群馬大学で開発した電動モビリティを利用して地域に点在する未利用資源を効率よく集めて運ぶ仕組みを検討・開発しています(写真1)。これにより、エネルギーと資源を同時に回収する低エネルギー型の収集システムの実現を目指しています。
第二の柱は、集めた未利用資源を集約する「資源循環ハブ」を整備し、生物学的転換、熱化学的転換、マテリアル利用を柔軟に組み合わせることで、多様な未利用資源に対応します。利用しやすい成分は付加価値の高い材料へと転換し、残渣を群馬大が持つ2搭式ガス化プロセス(写真2)で燃料に転換する技術開発を行います。この役割分担により、材料生産とエネルギー生産の双方にとって効率的な資源利用を実現しようとしています。
第三の柱は、生成した燃料の評価と利用です。資源循環ハブで生産した燃料(水素、炭化水素、メタノール、アンモニアなど)について、既存のガソリンエンジン(写真3)やディーゼルエンジン、産業用バーナーなどで実際に使用し、問題なく利用できるかを検証しています。さらに、水素やメタノールについては、将来的な高効率利用を見据え、燃料電池での利用可能性についても検討を進めています。
写真1
写真2
写真3
われわれの取り組みは、地域の資源を地域で生かし、価値を地域内で循環させる新しい産業モデルの構築を目的としています。これは、群馬県におけるGXを理念にとどめず、具体的な形として社会に実装するための実践的な試みです。本事業の成果を基に、民間企業が地域の未利用資源を活用した新しい事業を検証・創出できる拠点の整備も進めています。この拠点を通じて、企業の参画や投資を促し、持続的に新産業が生まれる仕組みを地域に根付かせることを目指しています。
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