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メタンハイドレート~脱炭素社会の実現に向けて~

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DXを推進する「ものづくり+IT」の研究開発

2022年1月21日長岡技術科学大学 電気電子情報工学専攻
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工学ホットニュース

 IT(情報技術)の浸透が人々の生活をあらゆる面で良い方向に変化させるDX(デジタルトランスフォーメーション)が、社会の喫緊の課題となっています。DXを実現する鍵は、AI(人工知能)・IoT(モノのインターネット)技術にあります。あらゆる分野の企業や自治体、教育・研究機関等にAI・IoT技術が導入されることで、新しいサービスの実現や困難な課題の解決が期待されています。例えば、IoTによって様々なデータが収集され、データを活用してAIを構築することで、リモートの自動製造、安全な自動運転、熟練技の可視化などが可能となります。本記事では、長岡技術科学大学が取り組んでいる、DXを推進する「ものづくり+IT」の最新の研究開発について紹介します。

テーマの利用・大学での取り組み

 長岡技術科学大学は、社会の変化を先取りする「技学(技術科学)」の創成を目指し、機械、電気、情報、経営、環境、物質、生物など広範な工学領域における教育研究を行っています。さらに、企業や自治体等との産学・地域連携を推進し、先進的な研究開発の成果を社会実装しています。以下では、その具体例を紹介します。

ドライブするだけで道路メンテナンス

 道路メンテナンスの効率化と徒弟的技能継承からの脱却が、社会的に急務となっています。長岡技術科学大学では、車に搭載したドライブレコーダーの映像を用いて、メンテナンスを支援するAIを構築しました。このAIは、ドライブレコーダー映像の色や形などの視覚的特徴を分析することで、ガードレールや白線、区画線等のメンテナンス対象を自動で検出します。さらに、深層学習(ディープラーニング)に基づき、その劣化度の推定を実現します。この技術の一部は、宮川興業株式会社のAIによる道路区画線診断技術「RoadViewer(ロードビューアー)」に採用され、実用化されています。同社は、本技術の有効性が高く評価され、インフラメンテナンス大賞(情報通信技術の優れた活用に関する総務大臣賞)を受賞しています。

職人の勘所を再現

 新潟県は、カトラリー(フォーク、ナイフ、スプーンといった洋食器)の世界的な製造拠点です。カトラリー製造の自動化や客観的な品質保証の実現、後継者の育成等の目的のために、AIやロボットによる支援が求められています。長岡技術科学大学の画像・メディア工学研究室およびモーションコントロール研究室と機械設計を専門とする株式会社ダイワメカニックが連携し、カトラリーの研磨および外観検査の自動化を実現しました。ここでは、カトラリーの三次元形状を認識する画像計測技術や磨き度合いを判定するパターン認識技術が活用されています。既に一連のシステムの試作機(図1)は完成しており、商品化に向けて最終調整が進められています。

今後の展望

 我々は、画像・音声・テキスト・センサデータ等の多種多様なデータを統合的に分析するマルチメディア信号処理を土台として、膨大なデータの中から有益情報を顕在化する「見せる化AI」の構築に成功しました。見せる化AIを用いることで、例えば、新型コロナウイルスに関する大量のツイートの意味を分析し、代表的な話題を顕在化したり、新規感染者数と高相関な単語を抽出できます(図2)。長岡技術科学大学では、見せる化AIを活用して、様々な分野のDX推進に取り組んでいます。

学校教員の授業準備を手助け

 長岡技術科学大学では、個別指導塾「森塾」や「プログラミング能力検定」等を運営する株式会社スプリックスとともに、多忙な学校教員の授業準備を手助けするAIの研究開発を進めています。例えば、教員が算数で「速さ」の授業準備を行う際、「速さ」という検索語でインターネット検索しても、「速さ」と関係のない教育素材はヒットしません。見せる化AIを活用すれば、「速さ」と一見無関係なようで、実は関連していた「分数」や理科の「てこ」など、生徒の学習上の躓きを気付かせてくれる教育素材も推薦できるようになります。

パーソナルな地域防災システム

 長岡技術科学大学は、防災に係る様々な研究を産学官連携にて実施するとともに、技術の社会実装に関する実データを整備する「地域防災実践研究センター」を擁しています。取組のひとつとして、東京電力ホールディングス株式会社や防災科学技術研究所 雪氷防災研究センターと連携し、水害や雪害などの自然災害から命を守る行動支援システムを開発しています。小型のモニタリング機器(監視カメラとIoTエッジデバイス)を個人で設置することで、災害リスクが自動で判定され、家のテレビなどのディスプレイに予想される被害や対策の候補を見せる化できます(見出し図)。さらに、最新のAR(拡張現実)・VR(仮想現実)・ハプティクス(疑似触覚)デバイスも活用することで、自治体の判断支援や学校の防災教育等のために、システムを実用化することを目指しています。

 本記事で紹介したように、社会情勢や時代の要請は目まぐるしく変化しています。長岡技術科学大学は、複雑化・高度化する課題に対応する素養を持ち、新たな産業分野を創出・牽引できる技術者を育成する教育システムを用意しています。社会の変化を先取りする「技学(技術科学)」を一緒に追究しましょう。

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