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高圧ジェット水から身を守れ!強くて動きやすい防護服

2020年8月21日愛媛大学 工学部工学科
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工学ホットニュース

 高圧ジェット水は洗浄だけでなく、切断にも利用されている。小さな部品の切断にはすでに利用されていたが、最近では建物や構造物の解体にも利用され始めている。それにともなって、ジェット水をノズルに送るための圧力も100MPa(1000気圧、 1万メートルの水深にかかる圧力)級に達してきている。それだけの高圧ジェットが誤って作業者に当たったら、非常に危険!ということで防護服が必要になる。しかし、単に強い素材で防護服を作ると重くてしなやかさに欠け、作業ができないという難点があった。愛媛県西条市で防護服の開発を行なってきた株式会社トーヨは、愛媛大学工学部の流体物理研究室、材料力学研究室と共同で、この難点を克服して新しい防護服を開発した。

2段構えの作戦でより軽く、強く

 愛媛大学工学部では、この新しい防護服の開発に2段構えの作戦を立てた。1つは、ジェット水が防護服表面に当たる際の衝撃を緩和することである。ここは流体力学の出番である。防護服表面でジェット水を乱れさせ、それによって圧力低下および拡散効果をもたらす。防護服表面形状のモデルとして、四角すい形状を並べた凹凸壁面を取り上げ、これに対する圧力低下効果を実験および数値シミュレーション調べ、水が撹拌されてたくさんの渦が発生することで、圧力低下が起こることを確認した。もう1つは、表面から何層かの布地が破れても、それに続く布地にとって、ジェットのダメージが少なくなるような布地の組み合わせを解明することである。ここは材料力学の出番である。組み合わせの途中に、不織布という強度に方向性のない布地を用いることで、ジェットが不織布の一部を絡めとり、それに続く布地で目詰まりを起こす。これによって、ジェットが作業者まで到達することを防ぐ。これら2つの作戦で、これまでにないより軽く、強く、作業しやすい防護服が開発された。大学での協力の一方で、株式会社トーヨでは多くの組み合わせ試験を行っており、まさに産学が有機的に機能しあって協同開発が行われた。

圧力低下効果確認のための実験と数値シミュレーション

工学の力を、より近くに

 製品開発の一部は、四国電力伊方発電所の「廃止措置研究に係る検討会」の支援を受けて行われた。本防護服が、原子力発電所の廃炉作業(解体等)において大いに役立つと考えられたために支援されたのである。もちろん、他の建物、構造物の解体においても本防護服は活躍できる。廃炉作業はこれまでになかった未知の領域であり、そして避けることができない緊急課題の一つである。工学が即戦力になって解決しなければならない課題は増え続けている。愛媛大学工学部は、未来に向けての研究ももちろん行いつつ、一方で工学の力をより近く、即戦力として発揮できるよう、これからも歩み続ける。

開発スタッフと製品を囲んで 開発スタッフと製品を囲んで

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