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化学発光(ケミルミネッセンス)

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完全自動運転の実用化に向けて

2018年3月15日群馬大学 理工学部
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工学ホットニュース

最近、世界中で自動車の自動運転の実用化に向けた研究開発が活発化している。中でも無人での走行を可能とする完全自動運転の研究は、これまでの自動車産業の枠組みを超えた取り組みが加速し、新たな移動手段としての実現が期待されている。現在日本は、少子高齢化、地方市街の過疎化が社会的問題となっている。こうした地域の中には、自家用車に依存した生活基盤の構築がなされてきた背景から、公共交通機関が十分に発達していない場合がある。地域の少子高齢化、過疎化が進み、自身の運転能力が徐々に衰えつつある中で、地域の移動性の要となる公共交通機関や若者がおらず、無理やり運転をすることで事故につながる。こうした問題を解決するために、完全自動運転を導入し地域の移動性の維持・拡大を目指すという考え方がある。少子高齢化、過疎化が進んだ地域で問題となる若い働き手の確保が必要なく、公共交通機関の6、7割を占める運転手の人件費を必要としないこの技術は、公共交通機関が脆弱な地域における交通手段として期待されている。

群馬大学次世代モビリティ社会実装研究センターを設置

この度、群馬大学では、完全自動運転をはじめとした次世代のモビリティ技術を早期に社会実装するための研究拠点として、「次世代モビリティ社会実装研究センター」を設置した。中でも完全自動運転に関しては、敢えて「地域限定・路線限定」で自動運転を実装する手法を用いた全国の公的研究機関でも珍しい実証研究を中心とした取り組みを実施している。前述の社会的背景を鑑みると、完全自動運転は潜在的ユーザーは、「全国のどこでも行ける」能力はそれほど求めておらず、スーパーマーケットや病院、駅などへの移動、すなわち「地域の足」を求めていると考える。そこで「地域限定・路線限定」にすることで、技術的な課題を限定化して、安定的に動作する自動運転システムを構築するアプローチを取り、早期の社会実装を目指している。

また、当センターは、自動運転の技術の高度化のみならず、「多分野の自動運転対応化」を支援するための研究拠点としての機能拡充を目指している。自動運転技術そのものは「無人で動く乗り物」を実現する技術に他ならず、「無人で動く乗り物」を活用したサービスや周辺の技術が伴ってこそ、その価値が発揮される。一方で、現在は世界的に、自動運転技術はその技術の高度化に多くのリソースが充てられ。閉鎖的な開発が行われている。そこで、本センターは既存の分野体系にとらわれない連携を積極的に推進し、多分野の自動運転に対応した技術やサービスを生み出すための「よろず相談所」として、貢献することを目指している。現在までに、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社、株式会社エヌ・ティ・ティ・データ、東洋電装株式会社、新明和工業株式会社、株式会社三井住友銀行といった多分野との連携関係が確立されており、今後さらに拡大を進めていく予定である。

完全自動運転の実用化に向けて

2020年代には完全自動運転が様々な地域の足となることを目指す

2018年3月に、群馬大学荒牧キャンパスにおいて、完全自動運転の社会実装に向けた研究開発を行う総合研究棟が完成する。この建屋には、乗用車、バス、トラックといった多様な自動運転車両十数台をはじめ、自動運転車両から得られる膨大なセンサデータを蓄積するデータセンター、センサデータを活用した人工知能を開発する並列演算装置、自動運転を利用した新サービスにつなげる管制室や遠隔操縦室、新たな車両設計に挑戦する整備開発室など、自動運転研究開発に必要な主要な設備を集中して配備する。また、建屋に隣接した試験路を設置し、完全自動運転やその周辺技術の開発において効率的かつ安全に検証が行える環境を整える。こうした設備は連携する企業と共用することで、「多分野の自動運転対応化」をさらに強力に推進する予定である。

また、自動運転技術においては、2016年から開始した公道での実証実験をさらに拡大していく。当センターにおいては、政府が発行した自動運転の公道実証実験に関するガイドラインに則り、運転者が搭乗した形で自動運転システムの公道実証実験を行い、実績を蓄積している。2016年は群馬大学桐生キャンパスの周囲2km程度の周回コースを走行するのみであったが、安全検証を繰り返すことで、2017年には桐生の走行エリアの拡大のほか、群馬県前橋市、富岡市、北海道札幌市、兵庫県神戸市、三重県四日市市など多くの地域で実証実験を展開できる安定した自動運転システムが実現された。来年度はさらにこのシステムをタクシーやバス、トラックといった自動車運送事業に導入するための高度化と周辺技術を開発を並行して行い、実サービスにつなげていく予定である。

完全自動運転の実用化に向けて

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