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化学発光(ケミルミネッセンス)

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空飛ぶクルマの低騒音化

2018年11月16日大分大学 理工学部
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工学ホットニュース

人を乗せて空を自由に移動できる「空飛ぶクルマ」の開発プロジェクトや実証事業が世界中で進められている。このようなクルマは、主にSF映画の中だけの話であったが、近年の目覚しいドローン関連技術の発展により、実現の可能性が高まってきた。日本では、都市の渋滞を避けた通勤、通学や通園、離島や山間部での新しい移動手段、災害時の救急搬送や迅速な物資輸送などの構想を描いて、平成30年8月29日、10月2日に都内にて経済産業省と国土交通省が主体となって「空の移動革命に向けた官民協議会」が開催された。約20の企業・大学・関連団体などが参加した。企業における現状と技術開発の課題などについて意見交換が行われた。

ところで、世界保健機構(WHO)から2018年の欧州の環境騒音に関するガイドラインが発表された。欧州では1億人以上が道路交通の騒音の影響を受けており、昼間に65dB(A)を超える騒音に曝されている人が20%に達する。高レベルの騒音は睡眠障害、聴力障害、集中力低下、心血管系への影響などの健康問題を引き起こし、心血管系疾患の発症の原因となることがある。

このような状況から、「空⾶ぶクルマ」では静寂性を高めることが重要な課題であると予想される。

「空飛ぶクルマ」の特徴と課題

「空飛ぶクルマ」には明確な定義はなく、「電動」「自動」「垂直離着陸」がひとつのイメージである。内燃機関とのハイブリッドや有人操縦、水平離着陸のものも開発されている。機体、運航、インフラにかかるコストが安くなり、空の移動が大衆化でき、速くて安く便利なヒトやモノの移動が可能になる。

この「空飛ぶクルマ」に乗って「好きなときに」「どこへでも:点から点へ」移動できる高度なモビリティ社会が実現すれば、日本の産業の発展と、国内外の社会課題の解決が期待される。実現のためには、①電動化や自動化等の技術開発、②実証を通じた運航管理や耐空証明等のインフラ・制度整備、③社会実装を担う担い手事業者の発掘、④国民の「空飛ぶクルマ」に対する理解度向上(社会受容性向上)が主な課題である。技術開発においては、特に自動化、革新型電池の開発、静粛性、CO2排出などが問題となると考えられる。

直近の動きと大学の取り組み

今年1月のConsumer Electronics Showや3月のGeneva International Motor Show等のイベントにおいて、各企業が大々的に「空飛ぶクルマ」のPRを行った。実機を用いて無人で3m程度浮上させるパフォーマンスを披露したり、2018年より販売を開始し、2019年より納品開始予定である量産モデルの展示、体感シミュレータや機体モックアップの展示などが行われた。その他、ユーチューブでは「空飛ぶクルマ」の動画映像が多数公開されており、関連する企業のホームページでは仕様の公開や予約受付が行われている。

これらに関係する大学の取り組みとしては、開発への協力や卒業生による会社設立、要素研究などの例がある。

静粛化に関わる取り組み

「空⾶ぶクルマ」は電動が想定されていることから、主にプロペラ音などの空力騒音が問題となる可能性があります。また、動力としてエンジンを用いる場合には、エンジン音や排気音も問題となります。低空を多数のプロペラ機が飛んでいる場合を想像すると騒音の大きさがイメージできると思います。「空飛ぶクルマ」の実用化と普及には低騒音化技術が重要であると予想されます。

 大分大学理工学部創生工学科機械コースでは、このことに対して、ファンやプロペラなどのターボ機械から発生する空力音の低減化技術の開発、アクチュエータを用いた空力性能向上および騒音低減の試み、新しい吸音壁や吸音デバイスの開発、多孔質材を用いた空力音の低減、振動特性を有効利用した音質改善、動吸振器を用いた振動防止技術の開発、面内鳴き音の低減化などの要素および基礎研究に取り組んでいます。

 その他、材料の疲労破壊や軽量化、材料の疲労強度に及ぼす水素の影響、材料の疲労破壊のシミュレーション、制御および電子機器の冷却、エンジンの高性能化、エンジン内の数値シミュレーション、ウェアラブルセンサや目的別測定装置の開発などの研究を行っています。

 本コースでは、プロペラや車体の空気抵抗に関する流体力学、材料の強度や破壊に関する材料力学、車体の振動と制振に関する機械力学、エンジンに関する熱力学、電子機器の冷却に関する伝熱学、車体の姿勢制御に関する制御工学、車体の状態を検知するセンサに関する計測工学、設計、製図、CAD、プログラム、実験、実習などを学ぶことができます。Jabee認定プログラムであり、多くの卒業生が大手企業に就職して国際的に活躍しています。本コースは、2017年に工学部機械・エネルギーシステム工学科機械コースから改組されました。

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