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人間と調和する生物型ドローンの研究開発

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地産地消のエコ住宅「きの家」

2019年2月1日和歌山大学 システム工学部
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工学ホットニュース

世界規模での気候変動が懸念されている中、地球にやさしい家づくりが求められています。木材は、鉄やコンクリートなどに比べて製造や加工に必要なエネルギーが少ない資材です。さらに、炭素を固定する機能や、大気中の二酸化炭素濃度に影響を及ぼさないカーボンニュートラルという特徴があることから、地球温暖化の防止に貢献する建築資材として注目されてきました。この地球にやさしい木材を、地元の森林から供給し、流通することができれば、得られる収益をもとに地域での森林の整備・保全を続けながら、森林のもつ多面的な恵みを持続的に享受することが可能となります。林業を営む中山間地域の活性化にもつながります。このような地域の木材資源をもとに、そこに暮らす人々の技能によって造りあげられ、時代を超えて伝えられてきたのが、日本の民家です。日本の民家には、自然と共生する智慧や豊かさが包含されており、まさに貴重な生活文化の象徴ともいえる存在ですが、社会経済や生活様式の変化の中で、現在、それらの伝統的な民家の多くが失われようとしています。

テーマの利用・大学での取り組み

 和歌山大学システム工学部、環境デザインメジャーの髙砂正弘教授は、和歌山のハウスメーカーと共同して、伝統的な日本の民家を現代に蘇えらせる、「きの家」をデザインし、この度、公益財団法人日本デザイン振興会より、グッドデザイン賞(グッドデザイン・ベスト100)を受賞しました。「きの家」は、地域の素材を使い、地域に根ざした民家や農家のように、永く使い続けられる、和歌山の住宅のスタンダードをめざすという思いで、髙砂教授が設計した注文住宅です。日本の民家や農家で古くから使われている土間や広間などの構成要素を再構成し、シンプルで機能的なデザインにまとめました。

 敷地の北側に母屋を、南側には三和土を挟んで離れを設け、それらをL字形の切妻屋根で一つにまとめています。母屋の1階は土間と広間のワンルームで、障子で仕切りました。2階は家具で間仕切った個室と寝室で、寝室には南側に面したデッキがあります。1階の土間と、2階の廊下とデッキとは吹抜けで垂直につなぎ、広間と離れとは土間と庭を介して水平につながります。これによって、どこに居ても家族の気配が感じられ、さらに、庭と広間の掃出し窓で社会に開いています。このシンプルな構成は、様々なクライアントや敷地の大きさと形に対応するためです。

今後の展望

 髙砂教授が所属する環境デザインメジャーでは、森林・里山・農地・都市・建築など、自然から生活空間にいたる環境を一体として捉え、自然再生、防災緑化、自然エネルギーなど自然と調和する技術、景観保全やまちづくり、建築設計などの計画技術を学びます。

 和歌山大学システム工学部は、開設20年にあたる2015年を節目に、持続可能な社会へ向けて、新たな挑戦を始めました。従来あった5学科を再編し、今回、紹介した環境デザインメジャーをはじめとして、21世紀を拓く10の教育・研究領域(メジャー)からなる1つのシステム工学科へと統合しました。これにより、学生の皆さんが将来活躍する分野に応じて、2つのメジャーを選び(ダブルメジャー)、専門を学ぶことができます。そして、複数の技術領域を見通し、新しい産業の創成に寄与できる人材の育成をめざしています。

 さらに、次世代の理工系人材育成を担う教員を養成するスーパーサイエンスティーチャープログラムや、学部と大学院とを連携させ、高度な専門知識・技術を学ぶ大学院特進プログラムを用意し、多様なキャリアパスへの挑戦ができるようになりました。皆さんが求めるアクティブな学び、自ら切り拓く学びに応える学部、それが和歌山大学システム工学部です。

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