内閣府が推進するSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)の一つである「革新的設計生産技術」は、近年、国際競争の激化による製造現場の海外流出や新興国の躍進、さらには製品のコモディティ化などの要因を背景に、日本のものづくり産業の競争力が失われつつあるとの懸念があります。本プログラムでは、設計や生産・製造に関する革新的な技術の開発等を行い、地域の企業や個人が持つアイデアや技術・ノウハウを活かし高付加価値な製品やシステム、サービスを産み出す、新たなものづくりスタイルを確立することにより、日本のものづくり産業の競争力強化を目指します。
「革新的設計生産技術」の中の「分子接合技術」は、岩手大学が伝統的に取り組んできたオリジナル技術です。モノとモノを接着剤(分子間力) ではなく、化学結合を用いて強固に結合させる技術を核としています。異種材料あるいは従来接着が困難であった材料同士の結合が可能です。接合方法の単純化(エッチングレスの金属めっき)が可能となり、高強度接着・高耐熱性を持つこと等の特性があります。自動車・医療・半導体等、様々な工業分野での製品化・応用研究がなされています。
ものづくりには、モノとモノの接合が欠かせません。しかし、従来の接着剤を用いる接合(分子間力接着)は、接着力の発現原理の安定性に根源的な問題があります。また、現状の樹脂めっきには、六価のクロム酸中で表面をエッチングして凹凸をつくるため環境負荷が大きく、めっき剥離強度に信頼性がないという問題があります。一方、自動車、航空機、半導体、医療関連機器などにおいて高効率化・高機能化・高生産化向上のために、異種材料の接合および複合材料の新技術開発への期待が高まっています。そうした社会的ニーズに応えるために、従来の接合技術(分子間力接着)では困難だった材料依存性のない異種材料の化学結合を可能にする「トリアジンチオール誘導体」を用いて革新的な接合技術を確立し、寸法制御、高機能性及び生産性に特徴を有する「分子接合」および「分子めっき技術」の開発を進めています。
分子接合技術は、異なる材料どうしでも分子レベルでの化学的結合を可能にする画期的な接合技術である。本分子接合は界面化学結合の生成に原点をおいた接合であり、表面の濡れ性や凹凸を利用する方法ではありません。平滑な表面の異種材料同士、例えばポリプロピレンとシリコーンゴムなどを強固に接合することができます。分子接合技術は、接触界面において分子間力の生成に原点をおいた接合技術と異なり、化学結合の生成に原点をおいています。これまでの接合技術よりも密着力が高く、信頼性の高いものづくりを実現します。表面に付与された官能基は互いに反応するため、接合界面においても化学結合を生成し接合することが可能です 。そのため、セラミック、金属、プラスチック、ゴムなど材料を選ばず接合することができます。
界面化学結合の生成に原点をおいた接合は、表面の濡れ性や凹凸を利用 する方法ではありません。平滑な表面の異種材料同士、例えばポリプロピレンとシリコーンゴムなどを強固に接合することができます。 分子接合技術は、接触界面において分子間力の生成に原点をおいた接合技術と異なり、化学結合の生成に原点をおいています。これまでの接合技術よりも密着力が高く、信頼性の高いものづくりを実現します。表面に付与された官能基は互いに反応するため、接合界面においても化学結合を生成し接合することが可能です 。そのため、セラミック、金属、プラスチック、ゴムなど材料を選ばず接合することができます。
材質の異なる2つの材料を化学結合(分子レベル)で強固に接合する分子接合技術(i-SB法)により、Beyond 5Gで求められている伝送損失低減に有効な低誘電率・低誘電正接材料への平滑面めっき配線技術を開発しています。
耐熱性で凝集力や複合化に優れたトリアジン骨格を有する特殊樹脂により、低誘電率・低誘電正接でかつ導体との密着強度が高い絶縁樹脂材料を開発します。また、次世代半導体パッケージで求められている接着性が高く成形が容易な高耐熱・熱伝導材料を開発しています。
製品化については、「岩手大学次世代技術実証研究ラボ」において、より現場スケールに近い実証研究開発が行なわれています。あらゆる産業で多機能化、軽量化のためにマルチマテリアル化が進んでおり、構造材料間の接合技術の重要性はさらに増していくと考えています。地方発の革新的なものづくり技術で、わが国の産業競争力の強化ならびに地方における新事業の創出にこれからも挑み続けていきます。
岩手大学の「トリアジンチオール誘導体による分子接合技術」が有する非材料依存性、非接合条件依存性及び非環境条件依存性によって、部品点数の少量化、工程の融合化等による新しいものづくりの複合化の提案が可能なります。当該技術の高度化と普及促進を進め、数多くの新しい機能性製品等の創出を展開することにより、東日本大震災からの復興と、我が国のものづくりの革新を目指しています。
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