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静電気で野菜やキノコを育てよう!

2021年1月8日|岩手大学 理工学部
mein_image静電気をしいたけを植菌したホダ木あてた場合の育ち方の違い
(上:静電気なし、下:静電気あり)

静電気って知っていますか?冬にドアを触ったときなどにビリッとくるあれです。冬の空気は水分が少なく、摩擦で生じた電荷は逃げにくくなり、人に電気が溜まります。これを静電気と呼んでいます。何かを触ったときに青白い光を放って移動します。この青白い光は電子やイオンからできています。雷と同じでプラズマと呼ばれます。静電気は空気をきれいにする、コピー機、はやぶさのエンジンなどに利用されています。それだけではありません。野菜の鮮度を保ったり、植物がよく育つようになったりと、おもしろい使い方もできます。

オイルミスト(微粒子)が静電気で瞬時に捕集される様子

静電気(プラズマ)を植物に散布する水にあてた場合の植物の育ち方の違い

どうして静電気でよく育つようになるの?

 植物は育つために栄養を水や土から得ています。特に大切な栄養素として窒素があり、植物は根からこの窒素を硝酸(NO3)の形で取り込んでいます。空気中にある窒素はN2の形ですので、これを植物はそのまま利用できません。静電気で起こるプラズマ(高い電圧で電子が加速されてガス分子に衝突してイオンと電子に分けた状態)は、空気中の窒素分子をバラバラのNにして、これが酸素と結合して、化学反応や水に溶け込むプロセスを通して、植物が栄養として取り込めるようにします。これは窒素固定化と呼ばれており、これを植物が取り込んで成長することを窒素同化と呼んでいます。このようにして取り込まれた窒素は葉っぱの葉緑体に移動して、この結果光合成が活発に行われるようになり、成長が促進されていきます。

キノコは光合成しないのに
どうして静電気でよく育つの?

 私たちがよく食べているキノコの傘は、子実体と呼ばれていて、種を作る組織になります。果物や野菜の実や花と同じようなものです。通常、植物は細胞分裂などで大きくなっていきますが(栄養成長と呼んでいます)、日射量が少なくなる、気温が下がるなどの自然条件の変化で、花や種(実)を作る成長形式(生殖成長)へと変化します。キノコを育てている木(ホダ木)に静電気をかけると、その電圧でホダ木の中の菌糸と呼ばれているキノコの組織が、静電気で集められる微粒子同様に動かされます。動かされると、菌糸は傷ついたり、切断されたりします。これが刺激となって(物理的刺激と呼んでいます)、成長の仕方が栄養成長から生殖成長に変わります。この結果、種を作る組織であるキノコの傘の部分が形成されてきます。

ほかにどんな使い方ができるの?

 静電気ができることは、①化学反応(酸化・還元反応)、②駆動力(帯電させて電気の力で動かす力)、③応力(電気を流さない部分にかかる力)などです。②ははやぶさのイオンエンジンが有名ですが、ほかにもコピー機や家庭用の空気清浄機など、我々の身の回りで活躍しています。日本の高度成長期の生じた大気汚染をきれいにしたもの静電気の技術です。③は遺伝子注入や細胞融合などにも使われています。意外なところにも使われていることがあります。みなさんも、ぜひ興味を持って、発見してみてください!

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