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不可視光の撮影と新規アプリケーションの創出

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Pict-Labo~写真と動画で科学をのぞく~

シャボン玉+渦輪=カプセル消火法

2019年9月20日|弘前大学 理工学部 機械科学科 准教授 鳥飼 宏之
mein_image写真1 消火器による消火の写真

消火器の粉末消火剤や水を用いる火災消火では、消火剤によって電化製品が壊れる、絵画や本が汚れる等の消火活動に伴う2次被害が生じます。それを避けるにはガス消火剤の使用が有効ですが、消火ガスは空気と混ざりやすく、かなり火炎に近づいて消火剤を吹きつけなければならず危険です。それらの欠点を解消するために、消火ガスをカプセルに閉じ込めて空気との接触を防いで輸送し、また高温の火炎と接触することでカプセルが自然に破裂し、火炎に消火ガスを至近距離から供給して消火を達成するというカプセル消火法を研究しています。

 シャボン玉を、燃焼反応に関与しない不活性ガス(例えば、窒素ガスやヘリウム)で膨らませることによって、消火カプセルとすることができます。シャボン玉に充填されたガスは、液膜によって周囲空気との直接の接触が避けられ、ガスの濃度低下を抑制することができます。またシャボン玉は火炎に接触すると、写真2のように一点から破膜し、内部に充填されたガスを放出します。

 シャボン玉遊びをした経験がある人はわかるように、シャボン玉のように軽いカプセルを目的の位置に正確に輸送することは非常に困難です。そこで、ドーナツ状の渦である渦輪を利用します。渦輪は、円孔から流体を瞬間的に押し出すことで簡単に形成でき、空間中を比較的まっすぐに進んでいきます。この渦輪を利用することで目的の位置にシャボン玉を輸送することができます。動画は、渦輪の中にシャボン玉がトラップされて空間中を進んでいることが見て取れます。

 火災が生じている空間を汚さずクリーンに消火するには不活性ガスを使用すると良いのですが、消火ガスは空気と混合しやすく遠くの火源の狙った位置に供給することが非常に難しい。そのために不活性ガスを充填したシャボン玉と渦輪を用いたカプセル消火法を研究しています。動画では気体燃料であるメタンを使用して拡散火炎をバーナ上に形成しています。渦輪は目に見えませんが、トラップされたシャボン玉が火炎に向かってまっすぐ進み、やがて火炎と接触することで破裂し、シャボン玉内部の消火剤を放出して消火を達成する様子が確認できます。火炎の消火は、シャボン玉から放出された不活性ガス(動画では窒素ガス)のよって冷却されて、火炎の燃焼反応が停止していると考えられます。

撮影に使用した機材
高速度カメラ、オイルミスト、レーザーシート光源

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