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まだ知られていない厳冬期の絶景を求めて

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Pict-Labo~写真と動画で科学をのぞく~

金属管の2軸引張における成形・破断限界の試験方法

2023年3月3日|香川大学 創造工学部 造形・メディアデザインコース
mein_image張出し反対側の切り欠きの違いによる破裂後の張出しの様子

身近なところでも、金属管は椅子や手すり、蛇口などあちこちで使われている。もともと真っすぐなパイプを曲げたり、膨らましたり、凹ましたりなどの加工をして色々な製品の形にしているが、加工の途中で限界がくると破壊する。もちろん、変形は円周方向だけでなく、軸方向にも力がかかっているので、その比によって破壊する限界も変わってくる。これを調べる材料試験方法を考案している。試験する管の表面にマークを付け、そのマーク同士の間の距離を測って円周方向と軸方向の変形量を調べる。

金属管の初期と破裂後のマーキングの様子

管を局所的に張出させる金型

NI社製

 NI1776Cスマートカメラ(単眼)1台にて動画撮影。本来は曲面上のマーク間の長さを測定するため、3次元的に測定する必要があるが、最前面の極一部の変形の度合いを取りたいだけなので、平面として近似している。マークは高精度な直径0.8mmの円形とするため、一度全面を赤色のカラースプレーで塗色し、レーザー加工機にてマークの周りを昇華して消している。縦3個x横4個のマークを残し、隣り合うマークの中心(重心)位置は1.2mmとしている。管を膨らませると、マーク間だけでなく、マークの円も大きくなるが、マークの重心位置を計算する。下地である管がシルバー色の金属であり、マークと下地の認識をよくするため、赤色としている。また、リングライトや間接照明を使用して、局所的な光沢を防いでマークが写らなくなるのを防いでいる。

 LabVIEWにてPCに収録し、その画像データをNI Vision Assistantにて処理し、粒子解析でマークの重心位置を求め、動画の各フレーム(8フレーム/秒)毎にその座標を求めている。座標からマーク間の長さを計算する。また、管が膨らむと焦点が合わなくなる可能性があるため、変形前から変形後まで鮮明に映るように試験片とレンズの距離を離して焦点深度に入るようにしている。管が割れた(破断した)時のフレームが最終の変形量となる。理由は分からないが、比較的変形途中も円周方向と軸方向の比は一定であった。この比を変えるために、局所的に張出させる箇所の反対側に様々な大きさの孔を開けたりしている。

 金属板などの材料試験はJIS規格(工業規格)などで定められているが、閉じた断面の金属管の材料試験は難しく、変形途中も考慮した試験はあまりない。配管や自動車用部品など、金属管の変形を調べるための新しい材料試験方法の開発が急がれる。試験用の装置も既存の物などは無く、装置の強度も含めて自分で設計し、外注もしくは自作する。

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