令和2年の農林水産省統計部の特用林産物生産統計調査によると、宮崎県の乾しいたけの年間生産量は全国順位2位であり、キノコ類すべての生産量になると5位となります。一方、珍しい光るキノコは宮崎県内で11種類確認されており、全国トップクラスの光るキノコの宝庫となっています。このように宮崎県はキノコ類が非常に豊富であり、キノコ類が生育するのに非常に恵まれた環境となっています。坂本研究室では、様々な映像技術を用いてこれらキノコ類の観光支援、教育支援、博物館支援、農業支援に関する研究を行っています。
光るキノコは、現在世界中で約70~100種類ほどあると言われており、日本では10数種類ほど確認されています。そしてここ宮崎県ではそのうちエナシラッシタケやシイノトモシビタケなど11種類の光るキノコが確認できる非常に恵まれた環境となっています。しかしながら、世間一般にはあまり知られていないため、観光支援を目的にエンターテイメント性のある3DCGモデルを用いたプロモーションビデオを制作し、各種展示会等で披露しました。
特定のキノコを実際に探そうとする場合、どのようなところに発生するかを熟知していないと難しく、場合によっては道に迷うこともあります。そこで、位置情報も加味したAR(拡張現実)によって探索支援を行うことを目的に始めました。その一環としてVR(仮想現実)を用いたキノコの探索を行う一般教育用のシステムも検討しています。ARやVRなどバーチャル技術を用いた試みです。
宮崎県で開催されたキノコの展示会を訪れた際、ビロウの落ち葉に発生するエナシラッシタケや拡大鏡を用いて展示されていたガーネットオチバタケなど肉眼での観察が非常に難しいキノコもありました。そこで、このような小さいキノコを観察しやすくするためにARを用いてキノコ本体の3DCGモデルや解説を表示し、博物館等での展示支援に関する研究を行っています。今後は小さい対象物だけでなく、大き過ぎて全体像を把握しにくい対象物も検討したいと思います。
宮崎県での乾しいたけの生産量は全国トップクラスで、高級椎茸“どんこ”などは高値で取引されています。しかし、未だに人の手を介して選別しており、その膨大な量の乾しいたけを選別するのに大変な労力を費やしています。そこで、しいたけ農家からの提案もあり、動画像処理と人工知能を用いて大きさや質に関する自動選別の基礎研究を推し進めています。人工知能の手法としては機械学習を用いており、目下学習のために乾しいたけの膨大な画像データを収集しています。
坂本研究室(井手理智、武村架、長谷部幸大、別府雅敏、坂本眞人)
宮崎県総合博物館学芸課 課長 黒木秀一 様
株式会社杉本商店 代表取締役 杉本和英 様
坂本研究室 卒業生 天野拓海 様、宮元大雅 様
「2021年10月にご逝去された共同研究者の原田栄津子先生(宮崎大学農学部)の御業績を称え、謹んで哀悼の意を表します。」
※画像はすべて坂本研究室と協力者によるものです。
※このページに含まれる情報は、掲載時点のものになります。