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イメージセンサを用いた可視光通信

2022年9月30日|東京農工大学
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スマートフォンをはじめ、私たちの周りにあるスマートデバイスと呼ばれるような電子機器には、カメラが搭載されているものが多くあります。カメラの中には、イメージセンサと呼ばれる光を記録するための半導体センサが入っています。このイメージセンサを、対象の撮影のみならず、デジタルデータの送受信に用いる技術、それがイメージセンサを用いた可視光通信であるOCCです。身近なカメラを使える手軽さ、壁を透過しない安全性といった特長を応用して、様々な分野で活用できる可能性があります。

 OCC(Optical Camera Communication)とは、送信機にLEDやディスプレイといった光源を、受信機にカメラを、それぞれ用いる通信技術です。LEDなどの光源から光信号として送信したデジタルデータをカメラで撮影し、画像から光信号を読み取る処理をすることでデータ受信を行います。いわゆる無線通信の中でも、人間の目に見える波長の光を使って通信する「可視光通信」と呼ばれる通信方法の一種です。ある意味、カメラを「目」としてデジタルデータを「視る」方法とも言えるかもしれませんね。イメージとしては、QRコードを撮影することに近いのですが、データの表現方法(符号化や変調などと呼ばれます)が異なります。

 みなさんは、スマホの通信が遅いとき、スマホを持って、電波が届きそうな場所を求めてスマホを高く掲げながら歩き回ったりしたことはありませんか?普段は便利な電波通信ですが、電波が届きにくいところや、電波を使ってはいけないようなシチュエーションもあります。例えば、山間部などインフラが十分に整っていない地域があります。また、飛行機の離着陸時など、電波の利用が制限されることもありますよね。また、5Gで用いられるミリ波と呼ばれるような高周波になると、遠くまで届きにくい、といったこともあります。OCCは可視光で通信をしますが、これは電波ではありません。ですから、電波が使えないような場所でもOCCなら使うことができる、といったことがあり得るのです。

 電波が使えない場所で、OCCが使える例は、どのようなものがあるでしょうか。身近な例として、水中が挙げられます。空気中では早く遠くまで届く電波ですが、実は、水中に入るとたちまち弱くなってしまいます(この現象を「減衰する」といいます)。水中では可視光も影響(吸収・散乱)を受けますが、そうした影響を上手く取り除くことでOCCによって通信することができます。

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