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まだ知られていない厳冬期の絶景を求めて

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Pict-Labo~写真と動画で科学をのぞく~

機能性流体が様々な未来の可能性を拓く

2020年9月4日|福島大学 共生システム理工学類
mein_image写真1 磁気混合流体(MCF)と磁気クラスタ

磁場、電場、光などによって物質が持つ色んな性質が発現する流体を機能性流体と呼んでいます。混合する材料によって機能性流体の持つ性質は色々に変化していきます。したがって、機械などにおける素子や各種センサ、太陽電池、半導体分野、加工分野など様々な工業分野において多岐に渉って活躍しています。そのため、私たちの様々な生活の場に役立っている重要な物質です。

写真2 MCF研磨による3次元形状研磨

写真3 MCFゴムセンサ

動画 MCFゴムと光起電力効果

 電場に反応する機能性流体には電気粘性流体(ER流体)や液晶が、磁場に反応する機能性流体には磁性流体やMR流体、磁気混合流体(通称MCF(Magnetic Compound Fluidの略))があります。MCFはnmからμmまでの2種以上の磁性粒子や金属粒子が水や油などの液体に分散したもので、磁場に吸引されます(「動画」参照のこと)。磁石を近づけると磁力線方向に磁性粒子や金属粒子が引きつけられ塊り(凝集体)ができます。これを磁気クラスタと呼んでいます。(「写真1」参照のこと)通常は写真のように針状を呈します。これは、太陽電池の効率を向上させるバルクヘテロ構造の形成技術に繋がります。この磁気クラスタを利用すると、多岐に渉る工業分野への応用が可能になります。例えば、 MCFに研磨剤を混ぜて、この磁気クラスタを歯ブラシにみたてて磁石を動かすことによって研磨剤を磨く物体に押し付けて研磨することが可能になり、ナノ研磨という鏡面仕上げが実現できます。通常の研磨では、「写真2」に示すような複雑な3次元形状物体を一気に研磨することができませんが、MCFによる研磨ではそれが可能となります。MCF研磨技術による結果を私たちの生活の身近なところで見かけることができます。

 また、MCFを液状の天然ゴムやシリコーンゴム、ウレタンゴムなどと混合し、電場を印加することにより(電解重合法)固体化する新しいゴム化の技術にも成功しています。通常は加硫法という方法でゴム化を行いますが、それに代わるグッドイヤー以来の新しい技術として注目されています。電解重合法により、MCFが半導体のような性質を持つことができるようになり、したがって、圧力を感知するセンサであるピエゾ素子や、温度センサ、太陽電池にもなります。(センサについては「写真3」、太陽電池の光起電力効果については「動画」参照のこと)また、MCFに導電性を持たせることができることから、導電体から誘電体まで幅広い性質を有する素材とすることができ、このような素材はこれまでありませんでした。しかもゴムということで伸縮性や弾力性に富むことから、伸縮性や弾力性のあるピエゾ素子や太陽電池という、今までにない夢を実現することができるようになりました。さらに、放射能から高周波の電磁波まで幅広い電磁波に反応することから、放射能やエナジーハーベスティングの分野にも活用されようとしています。

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