国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」にて初めての宇宙燃焼実験が行われ、みごとな炎の花が咲きました。この写真は、ランダムに配置された97個の液体燃料の粒に次々と燃え広がり、集団で燃える群燃焼の動画の一コマです。「きぼう」の中は無重力状態のため、燃焼現象を複雑なものとする浮力による対流が発生しません。「きぼう」は燃焼現象の本質を調べるうえで理想的な環境なのです。この実験では、エンジンなどで見られる噴霧燃焼を安定に行ううえで必要な群燃焼の発生メカニズムを無重力状態で詳しく調べています。
燃焼容器内の燃焼現象を観察窓を通して容器の外からデジタル一眼レフカメラで動画撮影を行います。燃焼容器内には、直径14ミクロンのSiCファイバが格子状に張られていて、その交点に自動液滴生成装置によって液体燃料の粒(液滴)を一つ一つ配置して行き、ランダム分散液滴群を作り出します。そして、着火装置により一つの液滴の燃焼が開始すると、次々と液滴に燃え広がり、多くの液滴が集団で燃える群燃焼が発生します。
動画を見ると、最初は一つの小さい球状火炎からスタートし、次第に火炎が燃え広がってつながり、大きな火炎へと成長していることがわかります。また、燃え広がる際にも、火炎が繋がったまま伸びて行く場合と、飛び火のように離れた位置に火炎が形成された後に大きな群火炎とつながる場合とがあることや、黄色い火炎の中にも時折青い火炎も見られることなど、見るたびに発見があることでしょう。
※このページに含まれる情報は、掲載時点のものになります。