紫外線などの光エネルギーを吸収して目に見える光を放出する発光現象は、蛍光ペンや紙幣の偽造防止、再入場スタンプなど、身の回りで広く使われています。私たちは、新しい有機分子を創り出すことのできる有機合成技術により、結晶状態で発光する分子を合成する研究を進めています。特に、こする刺激や有機溶媒の蒸気など、外部から加えた刺激に応答して発光色が変わる結晶を開発しています。このような結晶は、刺激を検出するためのセンサーなどへの応用が期待されています。
動画1. こする刺激による発光色の変化
動画2. クロロホルム蒸気による発光色の変化
虹の七色が、「赤・橙・黄・緑・青・藍・紫」として知られているように、ヒトは赤色から紫色までの範囲の光を認識することができます。光はエネルギーを持った電磁波であり、赤は低エネルギーで短波長、紫は高エネルギーで長波長の光です。分子は、光のエネルギーを吸収すると一時的に不安定な状態(励起状態)になり、吸収した光よりも低エネルギーの光を放出しながら元の状態に戻ります。これが発光現象です。
蛍光顕微鏡は、試料に紫外線を当てながら発光の様子を観察することのできる装置です。発光する有機分子の結晶を蛍光顕微鏡で観察すると、1mm以下の大きさの結晶が、青色や黄緑色、橙色など、鮮やかに発光する様子を鮮明に撮影することができます(図1)。多数の有機分子が整列することで形成される結晶は、分子の構造や並び方の違いに応じて多彩な発光色を示します。
外部からの刺激により発光色を変えることもできます。動画1は、紫色に発光する結晶の粉末に、紫外線を当てながら薬さじを使って「こする刺激」を加えることで、発光色が変わる様子を撮影したものです。こすった部分は橙色に発光し、こするのをやめると徐々に元の紫色発光に戻ります。動画2は、有機溶媒の蒸気に曝露されると発光色が変わる結晶です。橙色に発光する結晶がクロロホルムの蒸気によって緑色に発光する結晶に変わる様子が収められています。
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