気候変動によって起こる豪雨、洪水氾濫、高潮、高波、さらに海面上昇の影響による砂浜の消失、想定される巨大地震津波など、国土保全、防災・減災の観点から、将来に向けて、河川流域と沿岸域一丸となった総合的な研究が必要です。鳥取大学の海岸工学研究室と水工学研究室では、将来の防災・減災に向けた基礎研究から応用研究まで幅広く行っています。河川・海岸を一体とした総合的な土砂管理と砂浜保全の研究として、模型実験や現地調査、将来予測のための河川・海岸地形変化の数値シミュレーションモデルの開発などに取り組んでいます。
動画-1 河川における置き土の模型実験(混合砂礫,側方侵食)
動画-2 離岸堤周辺の海浜流と地形変化のシミュレーション
動画-3 堰直下の局所洗掘現象のシミュレーション
鳥取砂丘海岸は港の整備や護岸など人工物建設の影響により海岸侵食が発生し、大きく海岸線が後退しました。その対策として、港航路や河川河口部に堆積した土砂を浚渫し、侵食域に養浜する工法(サンドリサイクル工法)がなされています。砂浜を維持するためには、砂浜の変化を常に視ておくことが必要です。ドローンによる調査から砂浜を3次元的に捉え、砂浜の状況をモニタリングしています。(図-1)
河川上流から運ばれる土砂が少ない河川では,様々な方法で下流への土砂供給対策が実施されています。動画-1は,河口域への土砂供給対策の一つとして実施されている『置き土』の水路実験の様子です。置き土材料の種類,置き土の設置位置や流量が置き土の侵食過程に及ぼす影響を水路実験と数値シミュレーションによって検討しています。これらの結果は,現地河川における置き土の設置・運用の実施計画の参考とされ,さらに広範囲な検討によって現地河川への適用が計画されています。
海岸に設置された構造物周辺では、複雑な流れ(海浜流)が生じます。波の力と海浜流によって砂浜と海底地形も変化し、時には砂浜の侵食が起こります。川の中に設置された堰や橋脚などの構造物周辺では、洪水時に複雑な流れが発生し、その流れによって地形も変化してしまうため、構造物が倒壊してしまう恐れがあります。動画-2は離岸堤設置後、トンボロ地形が形成される現象、動画-3は川の中の堰(せき)の影響で川底が掘れる様子を示したものです。
将来にわたる防災・減災を考える上でも、このような現象を事前に予測しておくことは非常に重要です。私たちの研究室では、このような“流れ” による地形変化を精度よく予測できる数値シミュレーションモデルの開発を目指し、日々研究を進めています。
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