問題意識を持つエンジニアへのお誘い |
私は、山形大学工学部電気電子工学科で電気の基礎、数学、物理等を学び、4年生からは研究室へ所属して研究活動を行いました。その後、大学院に進学し研究活動を2年間継続し、電力を送るための送電線に対する雪の影響の調査という研究課題に3年取り組みました。大学生活の中では、4年生から取り組んだ研究が私の物事に対する考え方に大きな影響を与えました。その考え方とは「問題意識を持つようになった」ことです。それまでの私は、物事に関して漠然と考え、疑問や問題点などを深く考えることはほとんどありませんでした。私は、指導教員からの助言や話し合いを通して、小さな疑問や課題を見つけ一つひとつ確かめながら、大きな課題に取り組みました。例えば、「雪にはどんな種類があるのだろう」、「設備の種類によって雪の積もり方が違うのだろうか」、「雪が汚れているときには、どのようなことが起きるのだろうか」などのたくさんの小さな疑問です。この取り組みを3年間継続することで、課題を見つけるという問題意識を常に持つことができるようになり、現在の勤めている会社においても大変役に立っています。
現在、私は電力会社で送電線を保守し、管理していく仕事に就いています。主に、送電線が通っている山や街中を歩いて見回ることにより、古くなったり、壊れたりした設備箇所を見つけ、その修理や取替などの工事を行っています。自分で高さ数十mの鉄塔に昇ったり、電線に跨(またが)ったりして修理を行うだけでなく、工事を専門に行う施工会社に作業をしてもらう場合があります。工事を発注する場合、作業内容、その工事にかかる時間、人員、そして費用などを考える設計という業務があります。知識や経験のない工事を設計することは難しいため、前例を参考にして設計を進めます。このとき、問題意識を持っていることで「効率的にできる他の施工方法はないか」、「作業員は増やした方が良いのでは」など、前例だけにとらわれない設計を行うことができ、適切な工事内容を見出しています。しかし、自分なりに考えた設計が必ずしも良いものばかりではなく、上司や先輩社員から指摘や助言をもらうことがたくさんあります。このときは、一番良い工事設計を導き出せるよう必ず納得するまで話し合います。前例どおり設計すれば、労力や時間もかからず早く仕事を終えることもできますが、問題意識があるからこそ強く現れる「より良い工事にしたい」という気持ちに従って、施工会社と発注者が行ってよかったと思える工事にすることが、エンジニアとして大事なことであると思っています。
工学部の卒業生は、多くの場合エンジニアとして社会に出ます。エンジニアは、「役立つものを発見して社会に貢献したい」、つまり、社会の中で不便だと感じていることに対し、解決に向けて取り組み、役立てたいという意識を持っています。「不便だと感じること」こそが問題意識の出発点であり、エンジニアの大事な要素の一つです。エンジニアの仕事に興味が沸き、社会や身の周りの人等へ役立つ何かをしてみたいと思った皆さん、大学の工学部を進路選びの一つとして考えてみてはいかがでしょうか?
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