金属表面へレーザ光を照射すると、微小領域が、高速で加熱冷却されて、金属表面に新しい結晶が形成されます。照射条件、例えば、雰囲気が窒素ガスの場合、浸炭剤を塗布した場合によって、形成された結晶へ基材とは異なる優れた特性を付与することが可能です。
チタン合金表面へ浸炭剤を塗布し、窒素雰囲気中で、繰り返しレーザ照射を行いました。これはEBSD装置で断面を観察したものです。上側が表面になります。(a)のIQ imageより、N=0(レーザ照射なし)に比べて、レーザ照射をN=1、3、5、7回と繰り返し行うことによって、断面の上層には細かい結晶が形成しています。この結晶は照射回数が増えるとともに厚くなっているのが分かります。その下の下層には、等軸な結晶、さらにその下には針状組織も見られます。(b)のPhase imageによって、上層は青色のTiNおよびピンク色のTiC0.3N0.7の混在する微細な結晶粒子層であることが分かりました。下層は緑色の再成長した等軸なα-Ti結晶粒子層でした。浸炭剤を塗布し、窒素雰囲気中で、レーザ照射することによって、炭素および窒素はチタン合金内に拡散して、窒化物および炭窒化物が形成します。繰り返しレーザ照射することによって、チタン合金内へ拡散する炭素量および窒素量は増加して、窒化物よび炭窒化物も厚く形成しました。
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