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ミクロの化石から地球環境を展望する

2023年1月20日|秋田大学 資源地球科学コース
mein_imageマイクロスケールの化石をデジタル画像で観察する。

地球の温暖化が注目されるようになってきました。ところで、かつての地球の環境変動をどうやって調べるか知っていますか?実はプランクトンの化石が活躍しています。なかでも、鉛筆の芯の先よりも小さい、顕微鏡スケールの小さい化石です。これらの化石は、 1億年以上前に地球の海に現れたプランクトンのなかまで、進化、または環境によって、その形を変えてきたことが知られています。このため、これら化石の形を詳しく観察することで、地球の環境を推測することができるのです。

日本海の沿岸で採取された、約300万年前のミクロの化石(浮遊性有孔虫)。白い横線は100マイクロメートルを示す。

どうして化石なの?

 私たちの生活する地球の環境はめまぐるしく、そして常に変化してきました。現在も地球温暖化の進行について各国で真剣に議論が繰り返されています。今後も地球の化石燃料などの天然資源を利用しつつ、人類活動を健全に維持する必要があります。地球環境の変化は、実験室の科学実験と異なり、実際に変化を加えて反応を調べることはとても困難です。なぜなら、その規模はあまりに大きく、結果的に極端な変化を伴っては、私の生活が損なわれてしまうかもしれないからです。では、どのように地球を学べば良いのか。それは、地球の過去に学ぶことです。化石などのかたちで地層に残された記録は、地球のかつての姿を描き出すのに役立つとともに、これから起こりうる地球上の出来事を、膨大な過去の記録に照らし合わせて類推することに利用できます。

どうやって調べるの?

 海洋底から直接地層を採集したり、かつて海の底で堆積し、地殻変動で陸上に露出した地層から試料を採集します。調査船ででかけたり、山の奥深くにでかけたりと、地球のあちこちから情報を集めます。堆積物から取り出した化石の種類を調べるとともに、形状をデジタル画像として取得して計測したり、化石の中に含まれる各種の元素の特徴を抽出して、環境変動の規模やそれらが起こった原因を探ります。

何がわかるの?

 プランクトンの化石からは、地層が形成された当時の海洋表層のことがわかります。海流の存在は、大気の気圧の勾配を示し、大気の循環は、当時の日射量(太陽から受けるエネルギー)や大陸と海洋の配置に関係しています。また、化石の殻の化学成分は、元素の存在量などを通して海水の交流史や水温などの復元に利用されます。近年では、化石の見た目をマイクロスケールで観察する(同じ種類でも殻の厚さが薄くなっていることがある)ことで、海洋に蓄積された二酸化炭素の増加に伴う、海洋の酸性化などを推測することもおこなわれています。見た目はまるで不ぞろいのポップコーンのようですが、ミクロサイズの化石には、未来を見通す様々な可能性が秘められています。

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