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Pict-Labo~写真と動画で科学をのぞく~

水素爆発をキャッチする

2023年9月22日|長岡技術科学大学 システム安全系 門脇敏

爆発容器の中に水素と空気の混合気を充填して、点火の後に発生する球状火炎を観察し、水素爆発をキャッチします。ここでは、シュリーレン法を用いて、火炎伝播の様子や火炎面形状を高速度撮影しています。水素球状火炎の伝播の様子を示したのが動画です。球状に伝播する火炎では、凹凸状の火炎面が観察されます。この火炎面形状は,不安定性により微小な乱れが発達することによって生じるものです。なお、動画が示しているのは、実時間で約百分の一秒です。

図1 水素爆発容器

図1 水素爆発容器

図2 シュリーレンシステム

 わたしたちは、現在、二酸化炭素の排出による地球温暖化の問題に直面しています。地球温暖化の主な要因が石油などの化石燃料の消費であることから、二酸化炭素排出の低減に結び付くエネルギー源の確立が急務となっています。そのエネルギー源として、水素が衆目を集めています。水素は自然から直接採取できるエネルギーではありませんが、再生可能エネルギーを活用した水素製造が進展しており、次世代のエネルギー源として大いに期待されています。

 次世代のエネルギー源である水素は、その反応が活性であることから、爆発に至り易いことが知られています。それゆえ、防爆対策を施して、水素を安全に取り扱う必要があります。そして、安全な水素社会を構築するには、水素爆発に関する知見が必要となります。ここでは、水素爆発をキャッチする方法を説明し、その様子を動画で示します。水素爆発をキャッチすることは、その特性の理解に繋がります。そして、水素を安全に取り扱えるようになります。

 水素と空気の混合気に火が点くと、火炎は球状に広がり、その伝播速度は増大します。この現象は、安全の分野においても注目されています。球状に広がる水素火炎では、火炎面が凹凸状となり、火炎面積が広くなって伝播速度が増大することが知られています。そして、火炎のスケールが大きくなると、伝播速度の増大は更に激しくなります。

 このことから、爆発容器(図1参照)の中に水素と空気の混合気を充填して,点火の後に発生する球状火炎を観察し、伝播速度増大のメカニズムを解明することが必要です。ここでは、シュリーレン法(図2参照)を用いて、火炎伝播の様子や火炎面形状を高速度撮影しています。なお、シュリーレン法とは、「透明媒質の中で屈折率のわずかに変化する部分があるとき、光線の進行方向の変化を利用して、その様子を肉眼または写真撮影で見えるようにする光学的方法(理化学辞典第4版)」です。

 水素球状火炎の伝播の様子を示したのが動画です。球状に伝播する火炎では、凹凸状の火炎面が観察されます。この火炎面形状は,不安定性により微小な乱れが発達することによって生じるものです。

 水素社会において安全を確保するには、リスクアセスメントとリスク低減方策を行うことが必要です。水素爆発をキャッチした動画を参考として、水素の防爆対策を施し、安全安心社会を構築することが肝要です。

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