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まだ知られていない厳冬期の絶景を求めて

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Pict-Labo~写真と動画で科学をのぞく~

エンジンでの燃焼状態を観察する

2020年8月21日|岡山大学 工学部

トラックなどの大型車両や発電設備に用いられるガスエンジンでの性能向上を目的に燃焼状態の観察を行いました。エンジンを加工し、ピストンにサファイアガラスを埋め込むことで、高速度カメラでの観察を可能としました。燃料噴射インジェクタから噴射された軽油が着火し、天然ガスが火炎伝ぱを行います。火炎伝ぱにより圧縮された未燃焼ガスが自着火することで、高効率な燃焼を実現することが可能となり、現象解明に取り組んでいます。

図1 エンジンの燃焼観察方法

図2 軽油着火式ガスエンジンの燃焼の様子

 発電設備やトラックやバスなどの大型車両の一部では、天然ガスを主燃料としたガスエンジンが用いられています。地球環境保護の観点から、ガスエンジンではできるだけ少ない燃料で運転を行うことで、排出する二酸化炭素を低減することができます。しかし、少ない燃料だと出力が高くならず、この相反する問題を解決する必要があります。ガスエンジンにおいては、さまざまな燃焼方式がありますが、我々は安定した着火性から、軽油のマイクロパイロット方式を採用し、PM(微粒子状物質)の排出を抑えた軽油着火式二元燃料ガスエンジンの開発を行っています。軽油着火式二元燃料ガスエンジンの燃焼は、少量の軽油を着火源とすることで、主燃料である天然ガスを燃焼させます。実際のガスエンジンのシリンダ内は、燃焼により高温・高圧となり、観察することが難しいため、現象解明が進まず性能向上の妨げになっています。そこで、図1に示すように、ピストンにサファイアガラスを組み込み、高速度カラーカメラを用いた撮影により、軽油着火および天然ガスの燃焼可視化を可能としました。動画で示している燃焼状態を詳細に示したものが、図2になります。エンジンシリンダ内には、天然ガスと空気の混合気を吸入します。シリンダヘッドに組み込んだコモンレール式燃焼噴射インジェクタから3方向に少量の軽油を噴射すると、軽油が自着火します。軽油の自着火を火種として、天然ガスと空気の混合気は燃焼を開始し、火炎伝ぱを行います。火炎伝ぱによりまだ燃えていない混合気(未燃焼ガスと呼びます)の圧力・温度が上昇することで、未燃焼ガス部において自着火している様子を観察できます。未燃焼ガス部で自着火することで、効率よく燃焼を完了することができ、少ない二酸化炭素排出量でのエンジン運転が実現できます。エンジンシリンダ内での燃焼状態を観察することで、さらに高効率な燃焼方式を研究しています。

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