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捨てられるモノを活かして新しい建築材料をつくる

2021年4月9日|名古屋工業大学 建築材料
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丸い形をした電気炉酸化スラグ

建築材料は電子材料や機械材料などに比べて大量に使用するため、高価な原料を使用することが難しいです。一方、様々な製品を製造する際に生じる不要物(産業副産物)は用途が無ければ捨てられてしまうものですから、安価に入手できます。産業副産物を建築材料に用いることで、捨てられるモノを活かして新しい建築材料をつくることができます。例えば、産業副産物である電気炉酸化スラグはコンクリートやモルタルの密度を高めるための骨材(コンクリートやモルタルはセメントと水と骨材でできています)として利用できるだけでなく、建築材料に混ぜ込むことで安価に電波吸収性能を持たせることができます。

急冷スラグの製造場面

電気炉酸化スラグを骨材として利用したコンクリート

発泡スチロールのビーズと電気炉酸化スラグを組み合わせた電波吸収体

電波式融雪装置のサーモグラフィ

電気炉酸化スラグで電波吸収体をつくる

 電気炉酸化スラグは製鉄所から出る産業副産物で、電気炉で鉄をつくる時に生じる残りかすです。電気炉酸化スラグは酸素に沢山触れる環境下で生じるので、酸化鉄が豊富に含まれており、この酸化鉄(フェライト)が電波のエネルギーを吸収します。

 写真の電気炉酸化スラグ(急冷スラグ)はとても綺麗な丸い形をしています。これは、高温により液状になった電気炉酸化スラグを空気中に放出することによって丸くしているのです。丸い電気炉酸化スラグを骨材として利用したコンクリートやモルタルは流動性が高くなり、様々な形の型に流し込みやすくなります。

 発泡スチロールのビーズと電気炉酸化スラグを組み合わせることによって、様々な帯域の電波を広く吸収できる電波吸収体をつくることができます。電波吸収体は無線LANや携帯電話などによる様々な電波が飛び交う建築物の電磁環境を制御するために有効なものです。

電波吸収体で雪を融かす

 電波吸収体は電波のエネルギーを吸収して熱のエネルギーに変換します。この特性を利用して融雪装置をつくることもできます。雪国での除雪は大変な労力が必要です。従来の融雪装置よりも素早く雪を融かすことができる電波式融雪装置は、除雪にかかる労力を軽減することができます。電波式融雪装置は電気炉酸化スラグを骨材として用いたモルタルのブロックに下方から電波を照射することによって、電波のエネルギーをブロック内部で熱のエネルギーに変換して雪を融かします。電熱線に沿って線状に暖める従来の融雪方法と違い、面状に暖めることができるので、一部に大きな熱負荷をかけることなく高出力で融雪できるのが特徴です。

 電気炉酸化スラグをはじめとする産業副産物を建築材料に利用すれば、資源を有効に活用できるだけでなく、これまでに無い新しい機能を持った住環境を生み出すことができるのです。

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