風車やガスタービンなど羽根車が回転することによって、流体にエネルギーを与えたり受け取ったりする機械をターボ機械と言います。ターボ機械は複雑な羽根車形状をしており、多くのパラメータを最適に組み合わせる設計ノウハウが必要でした。近年、コンピュータシミュレーションによりターボ機械の内部流れを精度良く解き、さらにAIによりさまざまな形状を探索することによって、コンピュータが最適な形状を提案してくれる全自動設計システムが実現可能となりました。
ターボ機械は、水を送るポンプや水の力で発電するタービン、空を飛ぶためのジェットエンジンには空気を圧縮するコンプレッサや燃焼ガスで回転するタービンなど、身の回りのあらゆるところで必要な機械です。また、近年の再生可能エネルギーによるクリーンな電力が求められ、水力発電所や洋上風車などは、さまざまな運転条件で良い性能を出すターボ機械の設計が求められるようになりました。従来のターボ機械設計では、設計点流量や回転数がある値に決まっていましたが、再生可能エネルギーのような様々な自然の条件にも対応できるターボ機械の設計には、従来の設計では適応が難しく、広い運転範囲を持つターボ機械の設計は困難を極めます。
この研究では、人工知能(AI)と遺伝的アルコリズムを組み合わせ、コンピュータが自分で考えながら良い形状を探索するものです。様々な流入条件でも、良い性能を出す形状を自動探索することができます。複雑な形状組み合わせをコンピュータが考え、最適な形状を提案してくれます。
掲載している動画は、空気を圧縮する遠心圧縮機にケーシングトリートメントというバイパス形状を自動探索している様子です。この装置は、今後開発が進む燃料電池や航空機用室内空調などに利用されます。時間のかかる形状組み合わせをAIが効率的に行ない、高い効率をもつ最適なターボ機械の設計が可能となりました。また、コンピュータが検討した形状を統計的に再整理することによって、どの設計パラメータが重要なのか、どの部品を精度良く作る必要があるのかなど、設計ノウハウを蓄積することができるようになります。AIをうまく利用した機械の設計開発ができるようになりつつあります。
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