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Pict-Labo~写真と動画で科学をのぞく~

VRを活用した民俗芸能の伝承支援・活用技術の開発

2024年10月4日|茨城大学 情報工学科
動画1

日本には多くの民俗芸能があります。民俗芸能は地域の文化を反映した文化財であり、伝承や活用の支援が重要と考えられます。本研究では、VR技術を活用して民俗芸能の伝承を支援する技術や、地域の活性化に寄与するための技術の開発を進めています。計測装置を用いて民俗芸能をデジタル化し再現することで、体験会などでの広範な応用が期待されます。また、計測データを解析することで熟練者のコツや初心者の苦手な部分を明らかにし、伝承を支援することを目指しています。

民俗芸能の人形の首の計測と再現

図1 民俗芸能の人形の首の計測と再現

図2 民俗芸能の人形のカラクリの再現

 日本には数多くの民俗芸能があります。民俗芸能はプロでない住民によって演じられる地域に根ざした芸能であり、伝統芸能とは異なる地域の文化が反映された貴重な文化財です。これらの芸能を記録・保存し、伝承を支援すると同時に地域の活性化に活用していくことが必要と考えられます。我々の研究室では、モーションキャプチャ(MoCap)やコンピュータグラフィックス(CG)技術などのバーチャルリアリティ(VR)技術を活用し、民俗芸能の伝承・活用支援を進めています。

 様々な日本の芸能で使用されている三味線に着目した研究に挑戦しています。MoCap、筋電、音声などの様々なセンサを用いて三味線演奏を記録するシステムを開発しています。現在、全身用のMoCapと道具用のMoCapを同時に計測し、より詳細に演奏時の動きや姿勢を捉える試みを進めています。また、学習者と熟練者の動きの違いをVR環境で再現することによって、練習を支援するシステムの構築についても検討しています(動画1)。

 地域の特色を強く残した芸能として、神社へ奉納される芸能の一環である山車の上で演じられる人形芸に着目しています。人形芸を三次元計測し、VR空間と実空間の双方で復元し、様々な応用に活用するための基礎技術の研究も進めています。まず、人形の頭部を三次元スキャンで計測し、ノイズを除去した後、その芸能の人形に必要な可動部や接続部の調整を行い、3Dプリンタで復元しています(図1)。これによって、貴重な人形の消耗を気にせずに人形操作の練習や初心者の体験の場での活用が期待できます。

 また、人形のカラクリの再現にも挑戦しています(図2)。人形の構造を3Dデータとして実装するだけでなく、3Dプリンタで再現することによって、人形の動きの機構を再現することができました。さらに、可変抵抗とマイコンボードを用いて紐の引き具合を計測するインターフェースを開発し、人形操作の紐の引き具合の計測およびVR空間での動きの再現ができるようになりました。

 このように、人の動きや民俗芸能といった非言語の貴重な情報について、社会的な支援だけでなく技術的な支援を実現するための技術開発を進めています。

※このページに含まれる情報は、掲載時点のものになります。

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