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生物を超越するヘビ型ロボットと災害対応

2021年1月8日|電気通信大学 情報理工学域
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ヘビ型ロボットは生物のヘビを模倣したロボットです。ヘビのように関節をうねうねと動かし、狭い場所の点検や災害現場での被災者探索を行います。ヘビ型ロボットを使う際の一番大きな問題が「操縦の難しさ」で、数十個もの関節を全て手作業で操作するのは至難の業です。人間が「まっすぐ進め」と指示したら、ロボットがそれを実現するように勝手にうまく動いてくれる・・・それを実現するのが「制御」です。「制御」や「数式」のチカラを使い、生物を超えるヘビ型ロボットの実現と災害対応への応用を目指す研究について紹介します。

これまでに研究開発してきたヘビ型ロボット達

ヘビ型ロボットの様々な動作

 ヘビは細長い紐状の体をもち、手も足もありません。それなのに、険しい岩場を移動したり、壁や木を登ったり、水中を泳いだりと様々な動作ができます。また、細い体を活かして狭い場所にも入れます。ヘビを模倣したヘビ型ロボットもヘビと同じ動作ができるはずです。でも、できることは生物のヘビと同じことだけでしょうか?きっと、ロボットにしかできない動作があるはずです。「制御」や「数式」のチカラを借りると、そんな「生物を超越した動作」を実現できる可能性があります。

「動き」を直接設計してしまうと、ロボットの動きは人間の想像力の限界に縛られてしまいます。そこで、「動き」を設計するのではなく、「やりたいこと=目的」だけを設定します。「全身をこのように動かす」ではなく「ロボットの先頭をこの軌道で動かしたい」という目的を設定するわけです。あとは、その目的が実現されるような「制御」を数式で設計します。この場合、「目的」しか与えていませんので、ロボットが実際にどう動いて目的を達成するのかは、やってみなければわかりません。人間には思いつかないような複雑な動きが、「制御」や「数式」のチカラで発現されるのです。ロボットが想像を超えるような素晴らしい動きをしたとき!何物にも代えがたい感動が得られます。

 ヘビ型ロボットの応用先の1つが、災害現場での被災者探索です。災害現場は研究室とは異なり、周囲に何があるのかわかりませんし、何が起こるかもわからない大変過酷な環境です。想定外の状況に遭遇したとき、ロボットはどう動くべきでしょうか?ヘビ型ロボットは様々な動作ができ、想定外に対処できる可能性が十分にあります。でもその可能性を引き出すためには、状況に応じて適応的に振舞うための「動作制御」の研究が不可欠なのです。我々のヘビ型ロボットが災害現場で人の命を救う―そんな未来を夢見て、日夜研究に励んでいます。写真は、これまでに研究開発してきたヘビ型ロボットの一部です。得られた研究成果が活用され、ヘビ型ロボットが狭所点検や災害対応で活躍する日はそう遠くないはずです。

※このページに含まれる情報は、掲載時点のものになります。

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