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古くて新しい「竹」の建築を目指して

古くて新しい「竹」の建築を目指して

古くて新しい「竹」の建築を目指して

2026年5月15日鹿児島大学 工学部建築学科
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実寸架構モックアップ

工学ホットニュース

「竹」は我々にとって身近な存在です。古くから家具や食器などの日用品、楽器や武具の材料として使われ、タケノコは春を告げる食材として親しまれてきました。かぐや姫の竹取物語を知らない人はいないでしょう。しかし、プラスティックなどの新しい材料の登場により、1970年代頃から竹の利用は大きく減少しました。その結果、放置された竹林が広がり、「竹害」と呼ばれる問題を引き起こす“厄介者”になってしまいました。

 一方で近年、環境問題の深刻化を背景に、成長が早く安定して採取できる竹が再び注目されています。こうした状況に着目し、竹を建材として活用することで需要を生み出し、地球環境と地域の山の問題を同時に解決しようとする産学官共同プロジェクトが始まりました。(株)日建設計・(株)ハフニアムアーキテクツ・薩摩川内市と鹿児島大学環境建築研究室が協働し、薄い竹の板(割竹)を接着積層してつくる「竹集成材」を建物の構造材として用いる「竹集成材建築」の開発を行ってきました。

テーマの利用・大学での取り組み

 そもそも竹は「草」ですので、現在の建築基準法では建物の構造材として認められていません。また、材料の品質を担保するJIS(日本産業規格)やJAS(日本農林規格)にも登録されていないため、研究開発はゼロからのスタートでした。竹集成材を構造材として利用するためには、材料としての強さや品質のばらつきだけでなく、架構を組む際の接合部の強度や壊れ方まで正確に理解し、安全に建物をつくることができることを証明しなければなりません。そのため、数多くの実験を行い、竹集成材の特性を一つ一つ明らかにしていきました。また、製造上の制約を踏まえ、最適な部材のサイズを検証し、それを用いた無理のない建物の構成について検討を重ねました。その結果、40mm角の細い柱と40mm×150mmの梁を組み合わせた、竹らしい軽やかな構造体が生まれました。竹は、一般的に用いられるスギ材よりも強度が高いため、このようなスレンダーな構造体が可能になります。また、木とは異なる独特の表情も、建材としての大きな魅力です。こうした竹集成材構造の魅力を広く社会に発信するため、実大スケールの部分架構を製作しました。仕上げや照明を取り付け、鹿児島大学の研究施設内で休憩スペースとして利用されています。さらに、70m2程の平屋建物を建設するための国土交通大臣認定も取得しており、実用化に向けた準備を整えています。これらの取り組みは、「竹集成材建築」の実現に向けた大きな一歩です。

竹集成材による架構

竹集成材による架構

認定を取得した建物のイメージ

認定を取得した建物のイメージ

今後の展望

 現在、次のステップとして、割竹を用いた耐力壁(地震や台風など、建物を横から押す力に抵抗する壁)の開発に取り組んでいます。割竹を編むように組み、光や風を通す透過性のある耐力壁を実現できれば、竹編みの工芸品のように美しい風景を建物の中に生み出すことができます。これは、竹の新たな魅力を引き出す試みでもあります。

 また、サスティナブルな建材として注目される木と同様に、竹は二酸化炭素を吸収し、炭素として取り込みながら成長します。そのため、建材として利用することで、建物に二酸化炭素を蓄えることができます。成長が早く、持続的に利用できる竹は、脱炭素社会に向けて大きな可能性を持つ資源です。竹集成材や竹の耐力壁など、多様なアプローチを通じて、「竹」の建築の実現に向けた研究開発を今後も進めていきます。

竹集成材架構 実験 竹集成材架構 実験

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