未来の再生可能エネルギー開発を目指す -バイオ電池開発- |
これからは従来の化石燃料に代わる次世代エネルギーの多角化を目指して新たなエネルギー開発が必要である。バイオ系次世代エネルギーとしてはバイオマスを利用したバイオエタノールの生産が最も進んでいるが、分離・蒸留などエネルギーが必要な種々の工程があり輸送コストなども考えると、総合的なエネルギー収支比は極めて小さく次世代エネルギーとしては多くの問題を抱えている。一方、酵素を触媒とするバイオ電池は安全性が高い、軽量化・小型化が容易であるといった利点があり、使用したい「その場」に対応した微小電源として人工臓器やロボット型内視鏡などの体内用ロボットへの応用や携帯型電子機器の電源など多様な用途への展開が期待されている。木質バイオマス糖化液や発酵産物(培養液)などが駆動源として活用できる。最終的にバイオ電池が実用化されれば、電池構成には繊維材料、機械、化学などの多くの産業が広く関わってくることが期待される。
しかし、電池を構成するデバイス(電極)上での酵素を介した電子も効率的な受け渡しが必要であり、そのためには、酵素分子の電極上での分子レベルでの方向制御など効率の良い電子授受の場の設計が求められる。酵素分子の遺伝子レベルでの設計やどのような分子からエネルギーを取り出すのかなど反応系の構築など多くの課題があり、ここには遺伝子工学、酵素工学、材料工学、電気化学など工学の分野をまたいだアプローチが求められている。まだまだ、バイオ電池の実用化への道のりは遠いものではあるが、一歩一歩着実に前に進んで行きたい。
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