トップページ > なんでも探検隊 > セマンティックセグメンテーションによる海岸ごみの定量化

なんでも探検隊

セマンティックセグメンテーションによる海岸ごみの定量化

2025年1月17日
鹿児島大学 工学部
先進工学科 海洋土木工学プログラム
図1.開発したセマンティックセグメーションモデルによる海岸ごみの検出結果

 軽量で丈夫なプラスチック製品は、現代における我々の生活のあらゆる場面において欠かせないものとなっています。プラスチック製品の持つ丈夫であるという特徴は、使い終わり、ごみとなった後も自然の作用で分解されにくいという性質をあわせ持っています。これらのプラスチック製品などの人工ごみが、適切に処理されずに海洋へ流出し環境を汚染することで、人間や他の生物に様々な悪影響を及ぼしています。このような海洋汚染を阻止したり軽減したりするためには、どのような経路でごみが海に流出し、流出したごみがどこに溜まりやすいかを調べ、効率的に対策する必要があります。このような背景から、海洋研究開発機構(JAMSTEC)と鹿児島大学は共同で、海洋ごみの主要な漂着の場の一つである海岸を対象として、写真の中に映る人工のごみをピクセルレベルで自動で検出することが可能な技術開発に取り組みました(図1)。具体的には、セマンティックセグメンテーションという技術を用いており、画像の中の背景や物体をあらかじめ定義したクラス分けで塗り分ける技術です。この技術開発には、AI開発の要素技術である深層学習(ディープラーニング)を用いています。

 深層学習では、多層の特徴抽出層を用いますが、それらを最適化するために大量の学習データが必要になります。本研究開発では、3500枚の海岸の画像とそれに対応する正解ラベルを用意しました。正解ラベルは、もとの海岸画像を人工ごみ、自然漂着物、砂浜、海等の計8クラスに塗り分けたもので、全て人の手作業によって作成しました。この学習データを用いてトレーニングを行い作成したモデルによって得られた検出結果と、正確なドローン観測によって得られた海岸ごみのピクセル数を比較したところ、誤差は10%前後であることがわかりました。この技術は、すでに鹿児島県の南さつま市にある海岸に設置したWebカメラ画像等の解析に用いられており、この技術を応用したモニタリング手法の開発が進められています。

※このページに含まれる情報は、掲載時点のものになります。

関連記事

2021-09-10

環境への取り組み

持続可能な国際海運に向けた環境影響の評価

東京海洋大学海洋工学部

2025-01-17

環境への取り組み

魚類残渣からの再資源材料の開発と環境問題への応用

香川大学創造工学部

2025-04-25

生レポート!大学教授の声

科学技術の専門知識でグリーン社会を目指す

秋田大学総合環境理工学部

2026-02-06

環境への取り組み

ふん尿を環境にやさしく循環させていく技術の研究

東京農工大学工学部

2010-03-18

環境への取り組み

環境共生学科は21世紀に活躍する環境技術者を育成します

埼玉大学工学部

2020-04-17

環境への取り組み

材料・応用化学科における環境ISOへの取り組み

熊本大学工学部

鹿児島大学
工学部

  • 先進工学科 機械工学プログラム
  • 先進工学科 電気電子工学プログラム
  • 建築学科 建築学プログラム
  • 先進工学科 化学工学プログラム
  • 先進工学科 海洋土木工学プログラム
  • 先進工学科 情報・生体工学プログラム
  • 先進工学科 化学生命工学プログラム

学校記事一覧

なんでも探検隊
バックナンバー

このサイトは、国立大学56工学系学部長会議が運営しています。
(>>会員用ページ)
私たちが考える未来/地球を救う科学技術の定義 現在、環境問題や枯渇資源問題など、さまざまな問題に直面しています。
これまでもわたしたちの生活を身近に支えてきた”工学” が、これから直面する問題を解決するために重要な役割を担っていると考えます。