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生レポート!大学教授の声

へそ曲がりのすゝめ

2022年4月8日
和歌山大学 システム工学部
塚田 晃司

 みなさんは普段からスマートフォンを使ってネットに接続し、メールをやりとりしたり、動画を視聴したりしていると思います。外出先や移動中の電車の中からでもネットワークにつなぐことができ、さまざまな人たちと情報交換し、さまざまな情報サービスを利用するための重要な社会基盤といえるでしょう。

 私の研究室でも現代の社会生活で欠くことのできない情報ネットワークの分野で研究をしています。新しいコミュニケーションサービスの考案、新しい通信方式の提案をテーマに研究開発に取り組んでいます。

 さて、スマートフォンさえあれば、外出先でも移動中でもネットワークに接続して、さまざまな情報にアクセスすることができます。しかし、これは人口が集中している街中の場合であり、そこを離れて郊外へ、さらに、山間部へと立ち入ると、携帯電話の電波も届かず圏外となり、ネットワークにつながらなくなってしまいます。また、情報にアクセスするツールであるスマートフォンも充電する電気が使える場所がなければ、バッテリー切れで使えなくなってしまいます。

 当たり前と思っていることだけを前提にした技術は、それが当たり前でなくなったときに使えない場合があります。街中では簡単に情報にアクセスできても、山間部での農林業にネットワークを活用しようとすることは困難です。また、人口が集中している地域であっても、災害時にはネットワーク不通、大規模停電により避難に必要な情報にアクセスできなくなる場合もあります。

 当たり前と思っていることが通用しない状況で、いかにして普段と同じように情報にアクセスできるようにするか、この視点で解決方法を考え、新しい技術を提案してくことも重要な研究テーマとなります。つまり、当たり前と思っていることのあえて逆を考える「へそ曲がり」になることが重要なのです。これが新しい技術の発展、そして、より良い社会生活の実現へとつながっていきます。みなさんも「へそ曲がり」になって、新しい研究テーマを見つけてみましょう。

 ちなみに、私の研究室でもへそ曲がりを実践し、災害時の情報システムや、森林内でのネットワークをテーマに研究をしています。また、大学の研究室の中で研究するのを当たり前と考えず、研究室を抜け出して、山の中でも研究しています。写真は実際に実験機材を設置している山の上からの眺めです。

※このページに含まれる情報は、掲載時点のものになります。

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