北海道には、厳冬期に一定条件下でしか観察することができないサンピラー、霧氷、ダイヤモンドダスト、ジュエリーアイスやフロストフラワーなどの自然現象があり、閑散期である冬季観光資源に生かす取り組みが進められています。厳冬期の自然現象のなかには、まだ知られていない隠れた絶景が多く存在しています。私の研究室では、まだ知られていない絶景が、どのような原理で観察されるのか、また、どのような気象条件下で観察できるのかを調べ、将来の観光資源化に生かす研究を進めています。
図1は、屈斜路湖にできた薄氷を、偏光フィルターを装着したカメラで撮影したものです。薄氷下に湧き出た小さな気泡部分が、黄色や緑色など様々な色に着色されて見えています。これは、氷を透過する際に氷の複屈折により偏光の状態が変化するため、偏光フィルターに通すことで着色が観察できると考えられます。場所によって、氷の厚さや結晶の軸方向が異なることから、様々な色が観察できます。
図1 屈斜路湖の着色する気泡
図2は、コンピューターによって、多様な条件下で薄氷が何色に観察されるのかを計算した一例です。これは、観察角度53°で0.3mmの薄氷を観察した際に偏光板を回転して観察した場合の計算結果です。湖面に垂直な方向を結晶軸0°として、氷の結晶軸方向を変化させることで、さまざまな色に着色することが分かります。今後も引き続き現地調査やコンピュータシミュレーションを実施し、観光資源としての活用を目指していきます。
図2 着色のコンピュータシミュレーション
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