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魚の成育環境を改善した人工魚礁の開発

 
2014年10月22日
香川大学 工学部

研究の背景

世界的に水産資源の減少が問題になる中、我が国は、栽培漁業強化が求められていますが、様々な沿岸域の開発によって良好な漁場は減少しています。私たちの研究室では、これまであまり考慮されてこなかった潮流や、海藻などの生育環境を考慮した設計の人工魚礁を研究・実用化しています。

研究活動

産業廃棄物として廃棄されていた地元水産加工場の魚類残渣を有価物として買い取り、骨の部分を香川大学の技術で焼成し、リン酸カルシウム(ハイドロキシアパタイト(以下、HAP))を製造し人工魚礁に活用しました。HAPは、有害物質や体に悪影響を及ぼす重金属類などを吸着する性質を持っており、魚礁に活用することで、魚類の成育場所としての機能だけでなく、有害物質を吸着し水質や底質の環境改善を促す機能も備えたものにしました。
本研究は、2012年3月に独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構が公募したイノベーション創出基礎的研究推進事業に採択され、震災の被害により低下した東北の水産資源生産力の向上を目指し、産官学連携で取り組んでいます。

魚礁の構造における工夫

魚礁に用いるスラグを多孔質構造に加工し、魚類の餌となる小型生物量を増加させています。魚礁はコンクリート、鋼材、石材を立体的に組み、魚の産卵場所、生残率の低い稚仔魚の餌場や隠れ家等になるよう工夫しています。
また、海中には様々な潮の流れがありますが、この人工魚礁によって礁高の10~20倍の範囲に湧昇流および渦流を発生させ、酸素や栄養塩を混合させることで水質・底質環境の改善および餌となる生物量の増殖を促します。そして、魚の成育に欠かせない海藻を、磯焼けした海に移植できるアタッチメントも開発しました。

自然エネルギー(潮流)を利用した水産資源増殖構造物の開発


環境学 環境保全学 環境モデリング・保全修復技術
環境学 環境保全学 環境モデリング・保全修復技術

水理実験による流動制御機能の確認 自然エネルギーを利用→機械装置不要 染料投入による影響範囲の可視化

海藻の着生促進,高い生物蝟集機能

水質改善、食物連鎖の活性化
COD(mg/g)

今後に向けて

今後は、さらに新たな環境改善技術について研究を重ね、瀬戸内発の技術で、日本全国の環境改善に貢献できればと考えています。

※このページに含まれる情報は、掲載時点のものになります。

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