トップページ > なんでも探検隊 > 超音波散乱法で拓く微粒子分散系の革新的技術開発とその応用研究

なんでも探検隊

超音波散乱法で拓く
微粒子分散系の革新的技術開発とその応用研究

2020年4月10日
京都工芸繊維大学 工芸科学部

 私たちの夢、それは、他の手法ではなし得ない微粒子の新しい解析手法を開発し、独自技術で材料科学に貢献することです。学術的には微粒子の新しい構造、物性や機能を研究し、産業界への応用としては、インク、化粧品、自動車バッテリー、医療診断、環境分野があります。私たちは高分子材料を取り扱う化学系の研究室でありながら、オリジナルの計測技術も開発している研究室です。(図1,2)

図1
図2

 一般的な光を使う技術に取って代わって、私たちは超音波を使います。超音波は、胎児のエコー診断や船のソナーでよく知られていますが、我々の微粒子は、肉眼では確認できない、ミクロン(100万分の1m)、さらにはナノメートル(10億分の1m)の粒子です。我々の技術は、このような微細な粒子を、さらに液体中に浮いたままの状態で、試料を薄めることなく測定できるのです。そして、微粒子の個性を判定するために必要不可欠な次の3つの本質的な特性を、超音波で網羅しようとしています。

 大きさ・硬さ・表面:まず第1に粒子のサイズや分布は材料の特性を最も左右する因子の一つです。1つ1つの粒子の大きさに加えて、複数個が集まると大きな凝集体を作りますが(図3)、そう言った「階層的な」構造を壊さずに調べることができます。

 そして第2に個々の粒子の硬さを、液中そのままの状態で評価できます。様々な機能をもたらす微粒子ですが、指でつかむことのできない小さな粒子の硬さを非接触で評価できるのです。(図4)

 第3の技術は、粒子の表面特性を評価する技術です。微粒子が液中でバラバラに安定に浮んでいれるのは、粒子と粒子が反発して運動しているためと言われています。この状態に電場をかけ、溶液を薄めずに評価できます。最近では、抗原を標的にする生体応用微粒子や、ナノ粒子で覆われた油滴や中空微粒子(図5)の創製にも取り組んでいます。

図3図3
図4図4
図5図5
※このページに含まれる情報は、掲載時点のものになります。

関連記事

2021-09-10

輝く工学女子!(Tech ☆ Style)

分子のきもちのほんとのひみつ

弘前大学理工学部

2023-11-02

生レポート!卒業生の声

自分の気持ちに、妥協はしない。視野は絞らず、目標は明確に。

北見工業大学工学部

2017-04-28

おもしろ科学実験室(工学のふしぎな世界)

意外にアツい?摩擦熱について

新潟大学工学部

2019-02-15

生レポート!大学教授の声

自分の目で見て、自分で考える力をつける

神戸大学工学部

2020-09-11

環境への取り組み

次世代エンジンの性能向上に関する基礎研究(第2報)

大分大学理工学部

2019-09-13

おもしろ科学実験室(工学のふしぎな世界)

君にもできる!楽しいロボの作り方

琉球大学工学部

京都工芸繊維大学
工芸科学部

  • 応用生物学課程
  • 応用化学課程
  • 電子システム工学課程
  • 情報工学課程
  • 機械工学課程
  • デザイン・建築学課程

学校記事一覧

なんでも探検隊
バックナンバー

このサイトは、国立大学56工学系学部長会議が運営しています。
(>>会員用ページ)
私たちが考える未来/地球を救う科学技術の定義 現在、環境問題や枯渇資源問題など、さまざまな問題に直面しています。
これまでもわたしたちの生活を身近に支えてきた”工学” が、これから直面する問題を解決するために重要な役割を担っていると考えます。