将来に夢と希望を持つ、もしくは逆に不安がある、そんなのまだわからないという学生の皆さん。
社会へ出た一人として皆さんへ助言を送ります。
私の主な仕事は、国連加盟当局(例:日本=国土交通省)へ車の安全性を証明することです。この仕事は、国連加盟国共通の安全基準と各国独自の安全関連法律を満たした車を、いかに正確かつ必要な情報を提示し、納得していただくかを熟考する必要があります。自分で構築した説明プロセス、つまり自分だけの安全性の証明ストーリーを各国当局が納得して承認し、トヨタの車が世の中に販売可能になった時、非常にやりがいを感じています。
多くの人と交流を持ったことです。研究室、サークル、アルバイト、旅先等々、人を選ばず先入観を持たず自分と違う考えに触れ、相手を理解した上で共感または反感する。昔から会話は非常に苦手でしたが、他人の考えは新鮮なので自分から何度も多く人と交流を持つようにしました。
仕事柄、社内の異なる立場の人、協力会社、全世界の役人と接します。全員考えが異なり、立場がある方々と自らコミュニケーションをとり、相手の意を汲みながら主張しなければなりません。その時、一朝一夕には身につかない学生の時代のこの経験が大いに役立っています。
皆さん、これは何だと思いますか?
この問に正解はありません。社会人となった皆さんだけが理解できる、皆さんだけの答です。
ちなみに私が出した答は「心構え」です。例えば学生の皆さんは先生から物事を教えていただく際にどんな気持ちでしょうか?『わからないのは先生の責任。先生なら優しく教えて欲しい。わからなくてもまた聞けばいい。』ですか?情けなくも当時私はこのように考えておりました。しかし社会人となり、自ら頭を下げて聞き、内容を咀嚼し、実践し、間違っていたらもう一度自ら考え直さざるを得ない場面に何度も直面したことで「心構え」が大きくかわりました。今では生活全てにおいて「心構え」が学生時代と違います。
もちろん答えは千差万別ですので、皆さんだけの答を見つけてください。
自分を知ることです。「会話、文章を書く、5教科、運動等々のうち, 自分は何が得意もしくは苦手か。」ただこれだけ十分です。
ですがもし既にそんなことはわかっていると思っている皆さん、それは本当ですか?
例えば会話が得意だと思っている場合。会話後相手は同じ内容を聞いてきませんか?相手の話を理解しましたか?説得することに力を入れて会話後の相手との関係を蔑ろにしていませんか?
反対に会話が苦手だと思っている場合。親、友達、知人と会話できませんか?人と話すこと自体を避けていませんか?自分の話はどうせわかってくれないと決めつけていませんか?話す練習をして挑戦しましたか?
学生のうちに何度も自分を振り返り、見つめ直すことが社会に役立ちます。
学生時代に一番損をしがちなのが、上記のような思い込みです。その瞬間、人は考えることをやめます。だからこそ、時間を有意義に使い、周りの協力を得やすい学生時代に、ひとつでも多く自分を知ってください。
自分のことを知れば知るほど、皆さんは幅広い意味で強くなり、今まで見ることのできなかった世界を広げることができます。
皆さんが楽しくも充実した学生生活を送れることを、祈っております。
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