大学生は通常、3年または4年生になるとある一人の教員が運営する研究室やゼミと呼ばれる集まりに参加し、同じ研究室/ゼミの仲間と切磋琢磨しながら、より専門的な内容の研究に1~2年かけて取り組みます。例えば、私の研究室ではバーチャルリアリティ(Virtual Reality; VR)や、モノのインターネット(Internet of Things; IoT)の応用によって人の判断・意思決定を支援する知的支援システムを開発することを主眼としています。学生は研究活動を通じて物事をより深く考える力を養い、社会で活躍するための基盤となる素養を身に付けることができます。すなわち研究室/ゼミは大学教育の集大成として非常に重要な位置づけを担っている活動です。
私の研究室では普段から活動にVRを取り入れています。図1はVRを活用して教員と学生が研究に関する議論(ゼミ)をおこなっている場面(3人称視点映像)です。これはSpatialという既存のサービスを活用しています。図2は、教員がVRゴーグルとVRコントローラを装着して活動している様子です。図1と図2は同じ時刻の画像であり、現実世界の行動と仮想世界での行動が連動しているのがわかります。他の学生もVRゴーグルとVRコントローラを装着して図1に示す仮想空間に参加します。仮想空間の参加者はお互いに発話や身振り手振りを通じてコミュニケーションが可能です。図3は同時刻にVRゴーグルをかけた人の視点からみた映像(1人称視点映像)です。こうした様々な視点から記録したデータを元に、学生も教員も自らの行動を振り返る(内省と呼びます)ことによって、全体の議論の様子を再度冷静な目で見ることで新たなアイデアの気づきにつながったり、相手にとってよりわかりやすい表現の工夫につながるなどゼミの教育効果を高める働きが期待できるのではないかと考えています。
現在は試行錯誤的に既存のVRサービスを活用しつつ、活動の記録を収集し、それらを眺めることによって情報の活用方法について検討している段階です。VRゴーグルやVRコントローラからは人の動きのデータを取集したり、発話音声などの言語データを収集することができます。こうしたデータを分析する技術についても今後、発展的に開発していく予定です。
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