小学生対象のコマに関する実験室を企画しました。
コマのことを勉強して、最後にコマを使ってコマ合戦を行いました。
コマの運動を理解する前に、一般的なものの運動について考えてみます。
まず、ものには重さがあります。重さは地球と物体が引き合う力(万有引力)です。万有引力のもとになるのは、物体の持つ質量です。重さは地球の上か、月の上か、宇宙空間か、場所によって大きさが変わりますが、質量は物体に固有の変化しないものです。
コマは、かたちの変わらない硬い物質でできていることが多いです。気体や液体のようにかたちが定まっていないものや、ゴムなどのように力が加わると変形するものもありますが、固くて変形しない大きさのあるものを「剛体」と呼んでいます。剛体には重さのバランスの取れる点があります。重心と呼びます。
重心は棒のようなもので考えるとわかりやすいですが、棒だけでなく、平面にも、立体物にもあります。吊るしてみれば分かります。
剛体を放り投げると、多くの場合回転しながら飛んでいきます。このとき重心に注目すると重心は放物線を描いていることがわかります。また、回転も重心を中心にしていることがわかります。重心は物体の運動を理解するために重要です。
手のひらにほうきを逆さに立ててバランスをとる遊びをしたことがあるでしょう。この場合、ほうきの重心がほうきを支えている手よりも高いところにあるので不安定になります(倒れてしまいます)
逆に重心よりも上で支える(吊るす)と安定です。これは振り子などの運動に見られます。
コマを回したときのことを考えてみましょう。
コマの重心は、コマを支えている支点よりも高いところにあります。なので、コマを回さないときには、コマはすぐ倒れてしまいます。
コマを回すとどうでしょう。今度は倒れないで回り続けます。そして、コマの回転軸はゆっくりと方向を変えて先端が回転するように動きます(これをみそすり運動あるいは歳差運動と呼びます)。地球の回転軸も歳差運動をしています。
この運動については大学の物理学で勉強します。
ちょっと難しくなりますが、回転している物体に力が加わると回転している軸と、加えられた力の方向で作られる平面に対して直角方向に力が発生します。それで歳差運動が生じるような力が働き、コマは倒れることなく回転を続けられるのです。支点の摩擦などによって回転が遅くなると、歳差運動を起こす力が弱まって、重力の影響が大きくなって倒れることになります。
コマの歳差運動は観察できますが、歳差運動を起こす力を目に見ることはできません。そこで体感装置を作ってみました。名付けてSaisor-V(サイサーブイ)。
電池でモータに付けたおもりを回転させます。その時モータを手に持ちモーターの軸を傾けようとすると。。。あら不思議、想像していなかった方向に力を感じます。これがコマの歳差運動を起こしている力だったんですね。
コマの運動を勉強したあとは、みんなでコマ合戦をして遊びました。 コマ合戦はコマ用の土俵の上ではじき出されず最後まで回り続けたコマの勝ちとなる勝負です。2回連続で勝つと1試合勝利となります。コマ合戦では信州コマ倶楽部の方々にお世話になりました。
コマの運動は身近にありながら、不思議な感じのする、一般にはよく理解されていない運動の一つです。このような運動はほかにもあります。調べてみると面白いですね。
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