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“塩からい”を感じるしくみ

2022年1月14日
岩手大学 理工学部

 ヒトは基本五味と呼ばれる5つの味、すなわち、甘味、苦味、うま味、酸味 そして塩味を感じることができるとされています。広い意味での味覚は、食べ物を咀嚼した際に食物から放出され、鼻腔へと届く香り(嗅覚)と、モチモチ、フワフワ、プリプリなどといった食感(テクスチャ)、そして舌で感じる味による複合的な感覚を言いますが、学問的な意味での狭義の味覚は上に挙げた基本五味を感じるしくみのことを指します。一般に動物は、食物が糖分、つまりエネルギー源を多く含むことを示す“甘味”、体を構成する重要な栄養素であるタンパク質(の材料であるアミノ酸)を含むことを示す“うま味”を生得的に好ましい味として感じ、一方、毒物かもしれない植物性の化合物(アルカロイド)が含まれることを示す“苦味”や、食物の腐敗、果実の未熟などのシグナルである“酸味”は、生得的“には”嫌な味として感じます。このとき、これら4つの味については、含まれる味物質の濃度に関わらず好ましい味は好ましく、不快なものは不快に感じられます。ところが塩味だけは様相が異なっており、料理に使われるような低濃度(おおむね100mM程度まで)の塩味は好ましく、海水に含まれるような高濃度(200mM以上)の塩味は不快に感じられます。これまでの研究により、これら2つの異なる塩味に対しては異なる受容のメカニズムが存在するとされています。

 2000年代の初頭、マウスを用いた遺伝学的解析によって、甘味とうま味、苦味の受容体遺伝子が相次いで発見されました。また、酸味や低濃度の塩味についても有力な味覚受容体候補遺伝子が見つかっています。しかしながら高濃度の不快な塩味に対する受容機構は現時点ではほとんど何もわかっていません。最近、われわれの研究室では、高濃度塩味受容体の候補分子を見出し、これまでに本遺伝子が味細胞に発現していること、また、候補遺伝子の変異体マウスの高濃度塩味に対する感受性が低下することを確認しています。

図1 甘い(味付き)の水とただの水を同時に与え、どちらの水をより多く消費するかを評価する行動実験。図1 甘い(味付き)の水とただの水を同時に与え、
どちらの水をより多く消費するかを評価する行動実験。
図2 味蕾の免疫染色像図2 味蕾の免疫染色像
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