インバータやコンバータはパワーエレクトロニクス分野の半導体電力変換器の一種で、エアコン・洗濯機などの一般家電から電気自動車・新幹線、太陽光発電システムなどの大電力を扱う産業システムまで様々なシステムに使用されています。このコンバータはパワー半導体(MOS-FET, IGBT)と呼ばれる半導体デバイスを電気回路のスイッチとして複数組み合わせた電力変換回路を構成し、電気信号で高速にスイッチをオン・オフさせることで、必要な電圧・電流(電力)を供給します。その送電効率は100%に近く現在の省エネルギーを実現している中核技術です。長崎大学・電気電子工学コースではこのコンバータの中でも次世代の電力変換器と期待されているモジュラー・マルチレベル・コンバータ(MMC)の新しい回路・制御方式とその応用に関する研究を行っています。
一般的なインバータはスイッチのオン・オフで電圧を出力しますが、波形は大きな歪みを生じるためLCフィルタを使用して歪みを除去しきれいな正弦波波形となります(図1上段)。しかし、フィルタは大電力を扱う装置ほどLとCが大きなサイズ・重量となるためシステム全体が巨大になるという問題があります。それに対し、マルチレベル・コンバータは、電圧波形が階段状になり(図1下段)、LCフィルタ無しでも正弦波に近い波形で、より細かい階段状の電圧波形にすることで、LCフィルタを用いずに済みシステム全体の小型・軽量化が可能になります。
MMCはこのマルチレベル・コンバータの発展形で、「セル」と呼ぶ小型の変換器を複数直列(多段)に接続して、全体が一つのコンバータとして動作します。特長として、セルの段数を増やすほど歪みが少なくLCフィルタが不要で、さらに各セルの電源も不要で非常に重量のあるトランスも使用しないため更なる軽量化も可能となります。図2は本研究室のMMCを用いたパワーコンディショナーの回路図です。左は太陽光発電用、右は風力発電用へ応用した場合のMMC構成です。
図3は実験用に作成したセルとMMCの写真です。セルはパワー半導体デバイスと駆動回路で構成されてコンパクトで、これら複数を多段接続しています。写真のシステムは一相4セル×三相の計12セルで構成した回路です。このように、目的に応じた様々なMMC構成があり、本研究室でもこれらを含め様々な目的に応用したMMCの研究を行っています。
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