海底・湖底表層のメタンハイドレート -包有ガスの起源解析- |
北見工業大学未利用エネルギー研究センターでは、海底や湖底の近くに存在する「表層型」と呼ばれるメタンハイドレートについて調べています。例えば、メキシコ湾や日本の上越沖などの海底でメタンハイドレートの露頭が発見されていて、研究者の間で注目されています。海底・湖底から天然ガスがバブルとなって湧き出ているところは音響探査(魚群探知機と同じ)でわかるため、そのような場所を探して、コアラー(堆積物コアを採取する器械、おもりを付けた「鉄パイプ」をウィンチで上げ下げする)を落とし、表層堆積物中のメタンハイドレートを回収します。メタンハイドレートは塊状、層状、脈状などさまざまで、野外調査では分解してしまわないうちに-196℃の液体窒素容器に入れて保存します。我々はロシアなどとの国際共同研究により、オホーツク海サハリン島沖とバイカル湖の2箇所で調査を毎年行なっています。
ロシア・バイカル湖での調査風景
調べている項目は、メタンハイドレートに含まれているガスや水、周囲の堆積物などいろいろありますが、ここではガスに絞って解説します。「メタンハイドレート」といっても、実際にはメタン以外にもさまざまなガスが含まれています。エタン・プロパン・ブタン・CO2・硫化水素などです。そして、メタンやプロパンなどの炭化水素ガスを作る炭素・水素の安定同位体比を調べることで、そのガスの起源が推定できます。ハイドレートのカゴの中に閉じこめられているガスと、周囲の堆積物間隙水に溶け込んでいるガスとは、成分などがやや異なります。ハイドレートのカゴにも大小があり、カゴの中に入れる分子とそうでない分子があるからです。こうした情報から、どのように結晶が生成し、維持されているのか、あるいは今まさに分解しているところなのか、を理解しようとしています。
ロシア・バイカル湖の
メタンハイドレート
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