
2025年10月3日
九州・沖縄地区
宮崎大学 工学部
工学教育研究部化学生命プログラム担当
自然界に存在する天然物の内、資源の再生面も考慮し、植物由来の有機化合物をメインに研究をしています。植物が産生する天然有機化学物は、多種多様な三次元的構造、骨格、分子サイズを有しており、有機化学の素材として無限の可能性を秘めています。まさに植物は有機化学の宝箱です。宮崎県は総面積のうち、森林が約76%、農地が約9%を占める農林業の盛んな県です。宮崎県内に豊富に存在する”もったいない”未利用植物資源を研究のお宝として活用しています。主な研究は、1)環境調和型合成法の開発と植物資源を活用した生物活性物合成の研究、2)宮崎特産バイオマス資源の有効利用を目指す研究です。
オリジナルの環境調和型合成法を開発し、開発した反応を鍵反応とし生物活性化合物を合成しています。クリーンな酸素を酸化剤とする酸化反応を3種類、固体触媒を用いた転位反応、マイクロ波を利用した超効率的反応、無溶媒反応、イオン液体を用いる溶媒と触媒を再利用できる反応など様々な手法にチャレンジし環境調和型反応の開発を達成しています。開発した環境調和型の反応は、植物由来の天然有機化合物を原料として用いた生物活性物質の合成に活用しています。最近の成果としては、牛肉や牛乳に含まれる機能性分岐鎖脂肪酸であるプリスタン酸の両ジアステレオマーをクロロフィル由来のフィトールから減炭反応を鍵反応として作り分けることに成功しています(図1)。
宮崎特産の”もったいない”未利用バイオマス資源の有効利用を目指した研究を進めています。オビスギを用いてLVL製造を行う工場から排出されるタールは、焼却以外の利用価値がないものでした。しかし、成分を調べるとスギ由来のジテルペンが豊富に含まれており、我々には貴重なお宝であることがわかりました。現在、タール由来のジテルペンを変換し、より付加価値の高い物質への変換、スキンケア商品への利用などを検討しています。また、宮崎県特産のブルーベリー茎葉とヒュウガトウキを有用な地域資源として注目し、成分の機能性に着目し医農工連携の共同研究を実施中です。今まで未利用であったブルーベリー茎葉に含まれるポリフェノールに注目し、新型コロナウイルスの不活効果があること、老化細胞を選択的に除去できることを見出し、それぞれ特許を出願しています。ヒュウガトウキからは、世界で初めて構造決定した新規な化合物を2種類単離し命名しています(図2)。
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