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生レポート!大学教授の声

未来を拓く半導体への挑戦

2025年12月5日
富山大学 工学部 極微電子工学講座
森 雅之
Si基板上のInSb-MOSFETの光学顕微鏡写真Si基板上のInSb-MOSFETの光学顕微鏡写真

 私たちの身の回りには、スマートフォンや家電、自動車など便利な製品があふれています。最近の車には自動ブレーキやクルーズコントロールが搭載され、近い将来には自動運転も実現するでしょう。こうした製品を支えているのが「半導体」です。マイコンやセンサといった半導体は製品の中だけでなく、それを作る工作機械や製造装置にも使われています。つまり、半導体がなければ社会は動かないと言っても過言ではありません。

 半導体の性能が上がると、製造装置の性能も上がり、さらに高性能な製品が生まれる――そんな連鎖で世界の産業は発展してきました。未来の産業を支えるためにも、半導体の進化は欠かせません。これまで半導体は主にシリコン(Si)を材料としてきましたが、素子を小さくして性能を上げる方法は限界に近づいています。そこで近年は構造を工夫したり、より優れた材料を使ったりする新しい挑戦が進められています。

 私自身も、シリコンより電気的特性に優れた「InSb」という化合物半導体を使って、高速で低消費電力のトランジスタを作る研究をしています。InSbは赤外線センサや磁気センサに使われてきましたが、高価で脆いためトランジスタの材料には向いていませんでした。そこで、安価で丈夫なシリコン基板の上にInSbの薄膜を形成し、低コストで高性能なトランジスタを実現しようと挑戦しています。

 もちろん、研究が常に順調に進むわけではありません。新しい手順や構造を試してもうまく動作しなかったり、期待した性能が得られなかったりすることは日常茶飯事です。しかし、失敗を恐れていては何も新しいものは生まれません。むしろ、「なぜうまくいかなかったのか」を考え、その失敗から得たヒントやアイデアを次の実験に活かす、その繰り返しこそ、成功に至るプロセスです。工学の歴史は、そうした試行錯誤の積み重ねで築かれてきました。苦労の末に得られた成功体験が、何物にも代えがたい喜びです。

 皆さんが工学の分野で学び、私たちの未来の社会を支えるような活躍をされることを期待しています。

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