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宇宙・素粒子・原子核を撮影する半導体イメージセンサ

2022年3月18日
宮崎大学
工学部・工学科・応用物理工学プログラム

 宮崎県の産業のひとつに半導体関連があります。宮崎大学工学部工学科・応用物理工学プログラムでは「半導体」を軸に様々な研究を進めています。最近、半導体不足が深刻な問題となっていて、その言葉を耳にする機会が増えているかもしれません。今後、ますます需要が高まっていくテーマです。

 物質には電気を通す「導体」、電気を通さない「不導体」があります。この中間の性質を持ち、ほどほどに電気を通す物質が「半」導体です。半導体は、外から与える電圧・電流・熱・光によって「導体」や「不導体」に変化する特徴があり、制御することで実現するモノは幅広いです。例えば、電子機器の中でアナログ・デジタル信号を処理するIC・集積回路 (LSI)・CPU、光を受けるカメラのイメージセンサ、光を発する発光ダイオード(LED)・レーザー、光で発電する太陽電池など、これら全て半導体です。いかに世の中で半導体が使われているかが感じられると思います。ここでは、宮崎大学工学部工学科・応用物理工学プログラムで研究開発を進めている「半導体放射線イメージセンサ」を紹介します。

 身近な半導体のひとつに、可視光を電気信号に変換する「半導体イメージセンサ」があります。半導体イメージセンサは聞き慣れないと思いますが、身近な例では、スマートフォンを含むデジタルカメラの眼として光をとらえる役割を果たす「CMOSイメージセンサ」があります。私たちは、可視光より透過力の強いX線などの放射線をとらえるために、検出層がとても厚い半導体イメージセンサを研究開発しています。

 研究開発している半導体イメージセンサは「SOIイメージセンサ」とよび、純国産の技術です。silicon-on-insulator (SOI) 技術を基盤とする回路部・センサ部を一体化した構造が特徴です(図1)。要素技術が完成し、実用化レベルに到達しています。私たちは特に、日本で計画中の次期X線天文衛星「FORCE」の主力イメージセンサとして搭載を目指しています。図2がFORCE衛星の構想図、図3が開発中のSOIイメージセンサのチップ写真です。天体をX線で観測すると、可視光とは違った様子になります(図4)。今後は、宇宙X線観測だけでなく、様々な物理現象を撮影するカメラへ応用し、未だ見たことがない宇宙・素粒子・原子核の姿をとらえていきます。

図1:SOIイメージセンサの模式図図1:SOIイメージセンサの模式図
図2:日本で計画中の次期X線天文衛星「FORCE」の構想図図2:日本で計画中の次期X線天文衛星「FORCE」の構想図
図3:開発中のSOIイメージセンサのチップ写真図3:開発中のSOIイメージセンサのチップ写真
図4:可視光(左)とX線(右)で見た白鳥座図4:可視光(左)とX線(右)で見た白鳥座
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