私は工学部の機械工学コースに所属し、コンピュータシミュレーションの1手法である格子ボルツマン法の研究に長年従事してきました。
工学部というと、まず思い浮かぶのは「ものづくり」だと思いますが、生命工学、化学工学、電気電子工学、知能情報工学、機械工学など、幅広い研究分野で構成されています。更に、機械工学から、ロボットなどを思い浮かべると思いますが、機械工学の中にも、様々な研究分野があります。材料力学、熱力学、流体力学、機械力学、制御工学、計測工学、情報工学など様々な専門知識を修得する必要があります。
私は、3年生の時、流体力学の講義を聞いても難しく、流体力学に興味を持つことが出来ませんでした。ロボットが面白そうで、4年生の時、ロボットの姿勢をコントロールする研究をしました。自由な研究室があると聞き、大学院からは別の研究室に進学しました。新たに所属した研究室では、研究課題が与えられた後、細かい指示はなく、自ら研究課題を解決しないと卒業できませんでした。この研究室で、研究に取り組む姿勢を恩師から学んだと思います。
その研究室で格子ボルツマン法と呼ばれるシミュレーション手法に出会いました。格子ボルツマン法は流体運動を粒子で近似して解く特殊な手法であり、30年前に提案されたときは異端な存在でした。現在は、格子ボルツマン法に基づく商用ソフトが世界各国で販売されています。格子ボルツマン法では、誤差が不明瞭なため、私はノートと鉛筆で理論式を導いた後、コンピュータを用い、導いた理論式の正しさを証明しようと試みています。しかし、上手く行くことはほとんどありません。どの世界でも、失敗し、後悔することは多いと思いますが、コツコツとやっていくしかないと思い、研究と向き合っています。流体力学が得意でなかった私が、今は流体力学のシミュレーションを研究しており、人生はどのように転ぶか分からないものだと痛感しています。図は、ガリレオが望遠鏡を用い木星の惑星を発見したことと、コンピュータシミュレーションにより人間が目で見えない現象を観察することとを関連させた恩師の話を、私が学生時代に描いたものです。
工学部でも、このような研究がされていることを知ってもらえたら幸いです。
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