トップページ > 生レポート!大学教授の声 > いい加減は良い加減?

生レポート!大学教授の声

いい加減は良い加減?

2024年9月6日
鳥取大学 固体力学研究室
松野 崇
いい加減は良い加減?

 皆さんはこれまでに学校で色々な理屈を学んできたものと思います。このホームページを見る学生さんは、来るべき受験に備えて勉学に勤しんでいるのではないでしょうか。そんな皆さんに例えば「10÷3は?」と問いかけてみると、きっと「10/3」とか「3余り1」なんて答えが返ってくるでしょう。3.333といった数値はテストの答えとしては書きづらいですね。厳密には小数点以下の3は無限に続くわけですから、間違いにされてしまうのではないかと不安になってしまいます。

 学校の勉強に限らず、理系の職種だとこういった解の厳密さはとても重要視されてきました。でも、流行のAIなんかだと3.3や下手をすれば3という答えが返ってくるかもしれません。こういった「いい加減」なところが最近の情報科学の発展のキーになっています。これまでは3.33333と3が沢山ある答えが返ってきたところを、なんとなく3くらいだろうなという見積もりをコンピュータが返してくれるようになりました。これは大変な進歩です。

 私の専門は金属の変形と破壊のコンピュータシミュレーションです。特に、逆解析と呼ばれる変形・破壊してしまったものから元の形状を復元することに取り組んでいます。この問題を解こうと思っても、厳密に解けないことはもう証明されています。一見不可能な解析でしたが、最近になってそれらしい偽物の逆解析結果をAIで作ることはできてしまいました。人によっては、こんなズルな計算は捏造だと怒ってしまうかもしれません。しかし、厳密な解にこだわるあまりに検討が進まなくなってしまうケースもあるのです。

 大学生や社会人は答えがないものに答えを出すことが求められます。テストのような答え合わせができない事象に対しては、余り細かなところで厳密な解にこだわらないことが答えを出す近道になることもあります。もちろん、答えを出す対象によります。この記事を読まれた皆さんが早く大学生になって、良い加減ないい加減さを(できれば鳥取大学で)身につけてくれることを期待しています。

※このページに含まれる情報は、掲載時点のものになります。

関連記事

2024-05-24

工学ホットニュース

AI半導体の製造を支える高速・高精度なレーザー微細加工技術の開発とその社会実装に向けた取り組み

宇都宮大学工学部

2015-10-15

生レポート!現役学生の声

コンピュータに憧れて

電気通信大学情報理工学域

2024-02-02

なんでも探検隊

コンピュータによる織物デザイン

山梨大学工学部

2020-09-18

工学ホットニュース

顧客体験を豊かにするUX時代の「データ・サイエンス」

電気通信大学情報理工学域

2026-01-09

生レポート!卒業生の声

学び続ける力こそ、最大の武器 ~ One By One~

広島大学工学部

2024-12-27

工学ホットニュース

KITサイエンスカフェ~日本最北の工学系大学におけるアウトリーチ活動

北見工業大学工学部

鳥取大学
工学部

  • 機械物理系学科
  • 電気情報系学科
  • 化学バイオ系学科
  • 社会システム土木系学科

学校記事一覧

生レポート!大学教授の声
バックナンバー

このサイトは、国立大学56工学系学部長会議が運営しています。
(>>会員用ページ)
私たちが考える未来/地球を救う科学技術の定義 現在、環境問題や枯渇資源問題など、さまざまな問題に直面しています。
これまでもわたしたちの生活を身近に支えてきた”工学” が、これから直面する問題を解決するために重要な役割を担っていると考えます。