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生レポート!大学教授の声

トラックの長大化と道路インフラの対応

2020年11月6日
東京海洋大学 海洋工学部 流通情報工学科
兵藤哲朗

 わが国はトラック運転手の高齢化が進行しており、将来、物流を担うトラック供給量の不足が心配されています。また労働基準法では運転手の労働時間について様々なルールが制定されています。例えば4時間連続運転した場合、30分以上の休憩が必要です。このため、限られた時間内に荷物を届けるには所要時間を短縮できる高速道路を利用するので、結果として最近、高速道路を利用する大型トラック交通量が増加しています。

 他の解決策の一つがトラックを大型化することです。国土交通省は2016年から、それまで全長21mだったトラック車両の規制を緩和し、全長25mまで認める方針を打ち出しました。対応して登場したのが、運転手一人で2台分のトラックを運行可能な「ダブル連結トラック」です。2017年10月に日本で初めての全長25m車両が登場し、2020年時点で30台を超える全長25mダブル連結トラックが、10社近くの物流会社により利用されています。

 トラック長大化が進むと、それをサポートする道路インフラも対応が迫られます。私もシミュレーション分析を進めていますが、まず、高速道路の合流部分に課題が生じます。全長の長いトラックが合流する場合、本線を走行する車両が多いと、合流可能な車頭間隔を見いだせずに合流できない心配があります。本線を長大車が走行する場合でも、合流車両がなかなか合流タイミングを見いだせないこともあり得ますね。これらの課題に対しては、合流車両への適切な情報提供や、合流車線に信号を設置するなどの施策が検討されており、その効果を事前に検討する研究事例も少なくありません。

 他にも、高速道路の休憩施設における長大車の駐車スペースの確保も大きな課題です。現在、その駐車場所の確保はある程度実施されていますが、十分な管理に至っていないため、他の中型トラックなどが先に利用してしまい、長大車が駐車できないといった問題も発生しています。この課題については、予約制度の導入や、高速道路外の駐車場所の確保などが検討されており、これもトラックの運行パターンのデータを利用した最適化シミュレーションなどの研究を必要としています。

 普段目にすることのない場所でも、われわれの生活を支える物流活動は絶えることなく続いています。それを一層効率化する新車両の導入や、道路インフラの改良・改善も進行中であり、工学的な研究テーマとしても魅力的です。

※このページに含まれる情報は、掲載時点のものになります。

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