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生レポート!大学教授の声

遠隔講義の一例

2020年10月2日
埼玉大学 工学部 応用化学科

 今般のコロナ禍で、全世界の大学の先生方のほとんどは遠隔講義への対応に苦労されていることと思います。ある先生のお話では、遠隔講義というアイデア自体は昔からあって、数十年の間もう何度もその実施が議論されては否決されの繰り返しだったのに、今回わずか一週間で全てがその方向へ動いてしまった、ということです。コロナによって世界が一変するという典型例になりました。

 私の所属する埼玉大学工学部応用化学科でも、どのように遠隔講義を学生にとって実り多いものにするか、教員一同で議論を重ねてきました。それを踏まえながらも、最終的には各教員が自由に工夫を凝らして遠隔講義を実施しています。そのような自由が許容されるのは大学の良い点で、逆に小中高の先生方の苦労は並大抵ではなかろうと同情しています。

 私は一年生に物理化学を教えていますが、遠隔講義はTwitterによるチャットで行っています。この図は1回目の様子で、時間は下から上に流れます。予め原稿と絵を用意してタイミングをはかりながら流します。学生は いいね で反応してくれます。ここにはありませんが、簡単なチェックテストを時々行い、学生には答えを紙に書いて、写真を撮って、Twitterに上げてもらいます。ツイート、リプライ、ダイレクトメッセージ、さらにメールでも質問が飛んで来るので、目が回るほど忙しい講義になります。

 チャットはハードルが低いせいか、昨年度までの対面の講義よりも質問が10倍以上に増えています。これはある程度予想されたことですが、教える側として非常に励みになっています。さらに予想外のこととして、学生同士で良い影響を与え合う様子が見られます。やる気に溢れる学生が高度な質問をして私がそれに答えるというやり取りを、Twitter上で他の学生も見ています。良い学生の自発的な勉強の姿勢だけが良く目立つことは、全員にとって教育的効果が大変高いと私は感じています。

 コロナによる世界の変化は、実はこれからが本番かもしれません。教育と研究についての我々の責任はますます重くなりますが、楽しく明るく仕事に取り組みたいと思っています。

※このページに含まれる情報は、掲載時点のものになります。

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