本学では建築教育の柱として「建築物の①快適さ、②美しさ、③機能性、④安全性、⑤経済性、⑥長寿命そして⑦低環境負荷」という7項目を掲げています。従って、教員は建築計画、建築設計、建築環境、建築史、建築材料、建築構造そして都市・地域計画など多岐にわたる分野の専門家が集まっています。
私がいま、力を入れている研究は「建築物の長寿命化」に関するテーマです。建築物の長寿命化に必要な技術について、耐久設計と維持管理の観点からさまざまな研究を行っています。健全な建築物を生産し、不具合が生じたときには適切に手を打って長持ちさせようとする考えは、人間の健康管理と全く同じです。私は建築物の健康診断の一つの手段として、「振動計測」を提案しています。新しい建築物は速く、小さく揺れます。これに対し、古くなった建築物はゆっくり、大きく揺れます。建築物のどこかに欠陥が生じると揺れ方が変わります。すなわち建築物の振動は、老朽化や欠陥を探る上で有益な情報となります。
私は2016年の熊本地震、2018年の西日本豪雨災害の復興時には、現地で振動計測を行い、被災住宅の補強方法などをアドバイスしました。その時に、被災者の方々にはとても喜ばれ、同時に私は建築技術者としての喜びを感じました。このように建築学は、工学の中では、一般の人に近いというのが特徴の分野です。住宅や建築物を設計、施工する際には、発注者やユーザーの方と頻繁に意見交換をします。その結果、自分の作品である建築物を使っていただく人々が笑顔で喜んでくれるときにこの上ない幸せを感じます。すなわち、建築技術者には、人とのコミュニケーションを大事にし、人々が喜んでくれることにやりがいを感じる人が適任です。
実はコミュニケーション能力は工学の技術者にとってはとても重要です。広島大学の工学部の良いところは、小さな町の中で学生の生活が完結していることです。大学の近くに学生も教員も住んでいて、町の人たちも広大生には温かく接してくれます。このような町でコミュニケーション能力を高めながら工学を学べることは学生にとって大きなメリットです。
自分の技術で人々の笑顔を作りたい高校生の皆さん! 我々は、日本そして世界の人々を笑顔にする若者を育てたいと強く思っています。
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私たちが考える未来/地球を救う科学技術の定義 | 現在、環境問題や枯渇資源問題など、さまざまな問題に直面しています。 これまでもわたしたちの生活を身近に支えてきた”工学” が、これから直面する問題を解決するために重要な役割を担っていると考えます。 |