地球の内部について、人類はどの深さまで見たことがあるのでしょうか?
120年ほど前、クロアチアの地震学者モホロビチッチは、地下のある深部を境に地震波(P波)の速度が早くなっていることを発見しました。今では、P波速度が変化する境界面を「モホロビチッチの不連続面」といい、速度が遅い浅い領域を「地殻」、早くて深い領域を「(上部)マントル」と呼び、これらが岩石圏なのです。地殻の厚さは、海洋では約5〜10km、大陸では約30〜60kmと推定されています。
ところで人類は、地殻を掘り進み、マントルまで到達したのでしょうか?
ボーリング掘削の最大深度は,ロシアの「コラ半島超深度掘削坑」の約12.2kmです。また、人間が入って行ける最大深度は、南アフリカのムポネン金鉱山の3.84kmです。残念ながら、人類は大陸地殻の上辺しか掘削できておらず、マントルを見たことがありません。地下深部について、分かっているのは地震波の情報だけです。
日本は今でも、盛んに岩盤を掘削している国の1つです。トンネルや鉱山が、岩盤掘削の主な仕事場です。現在、日本で開発されたトンネルの総延長は、JRの鉄道トンネルが約2,400km、道路用トンネルは約5,100kmもあります。青函トンネルは53.85kmで海底トンネルとして世界1位ですし、現在開発中のリニア新幹線は、品川と名古屋間の約285.6kmのうち、86%がトンネル区間です。
今でも国内の鉱山では、年間に土木用の資材として岩石を約1.5億トン、セメントなどの原料として石灰石を約1.2億トン生産しています。今から約60年前、日本の炭鉱の最盛期には約5,000万トンの石炭を生産していました。
日本では、石油のほとんどを輸入に頼っているので、もしもの時のために、国策として全国10カ所の国家石油備蓄基地に、原油を約4,200万kL備蓄しています。そのうちの3つは、地下の岩盤を掘削したタンクに、石油を貯蔵しています。写真は、岩手県久慈市の石油地下備蓄基地の開発途中を示しています。今は岩盤空洞に原油が入っており、中は見えませんので、貴重な写真です。
日本の国土のうち、山地が6割、丘陵地が1割程度で、狭い3割ほどの平野に人が密集して住んでいます。このような山岳地域では、最適な交通ルートには必ずトンネルが必要です。岩盤の掘削は大変な仕事ですが、トンネルは新たな世界に繋げてくれます。
ここまで読んでくれた皆さん、一緒に岩盤を掘って世界を広げてみませんか?
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