「先生も昼飯食うんだ」、生協で昼食にサンドウィッチを買っていたら背後から声がしたので、振り向くと建設工学科の学生でした。「俺だって霞を食って生きている訳じゃないよ」と言ったものの、学生からすると先生は授業をするか研究をするか、そういう姿しか思い浮かばないのかもしれません。もちろん授業や研究以外にも色々やっています。ここでは「それら以外」について少し述べたいと思います。
国際ジオシンセティックス学会理事を務めて7年になります。毎年開かれる理事会では、朝8時から夕方6時まで会議がびっしり続き、学会の方針や予算などの重要事項を議論します。夜は皆で連れ立って食事に出かけます。図1は今年のソウル理事会の際、皆で焼き肉を食べているところです。こういう時は難しい仕事の話は抜きで、雑談を楽しみます。ちなみに、この時はカナダの理事に「髪がなぜ緑なの?お前はロックンローラーか!」といじられました(単に白髪染めが中途半端に色抜けしただけ)。そういう他愛もない話で盛り上がります。西アフリカのガーナで理事会が開催された際は、「初めてサハラ砂漠を超えたけど、本当に人の気配が無い乾いた土地が延々と続くんだね。その手前のアルプスと好対照だった。そうそう、ちなみに俺は新婚旅行でマッターホルンに登ったんだぜ(図2)」などとドイツの理事に自慢したら、「そりゃスゴイ!でも俺は新婚旅行でサハラ砂漠を横断したよ。」と返されました。食事の時間には、会議の席とは別の顔が見られます。この国際学会では4年に一度の世界大会での懇親サッカー大会が慣例となっています。私自身も、フランスやブラジルなどで球蹴りを楽しんできました(図3)。以前ニースで学会の合間に散歩をしていたら「お前が誰かは知らないが、サッカーをやることは知っている」と街で声を掛けてきたのは、その後理事仲間になったイタリア人です。次期アジア地域会議開催地決定の責任者になった際、投票で2都市が同数になり困っていたら、サッカー仲間のアメリカ人理事が助け舟を出してくれました。
若い頃は「横飯味がせず」で、英語を喋りながらでは料理を味わう余裕はありませんでしたが、最近ではそれなりに楽しめます。英語力の向上よりも、話のネタが多少は出来てきたことが大きいように思われます。本筋の話+αがあるとコミュニケーションは一層豊かになると思います。工学、中でも建設工学は社会や人との関わりが不可欠な分野です。学生の皆さんには、人と楽しく付き合える+αを色々と持って欲しいと願っています。
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