私は現在、元素分析装置に関する分析方法の開発やカスタマーサポートの仕事をしています。お客様が装置の購入を検討されている場合に要求の分析ができるどうかを実際のサンプルを分析して検証します。食品・医薬・環境など、あらゆる分野の製品開発や安全に携わることができ、自分自身で確認した結果から装置や分析方法の提案をできることにやりがいを感じています。
今でこそ充実して仕事ができていますが、大学へ入学する段階では「実験が楽しいから、化学」という理由だけで進路を決定していました。入学当初、将来どんなことがしたいのか、何になりたいのかは見えていませんでしたが、様々なものづくりを支える学問を学んでおきたいという思いはあり、工学系の学部を選択しました。
在学中は細胞膜のイオン輸送に関する研究を行っていましたが、開始当初は過去の研究結果が再現しないことや実験の度に結果が変わることに日々悩まされていました。一から実験環境を見直してみると、分析装置の分解能が十分でないことが原因だと判明し、それからは未経験の光学設計を他の研究室の先生にも教わりながら、半年以上かけて分析装置の改良を行いました。これまで取得したデータが使えないことや装置の改良を行う間に本来の研究は全く進まないことの焦りによって、研究の基本となる観察・定性・定量がどれだけ大切かを痛感することとなり、今の仕事を選ぶ大きなきっかけとなりました。
またこのとき得たものとして、自分で仮説を立て、検証し、気づいた問題を自分の手で解決できたことに大きな達成感がありました。現在の業務は大学時代の研究テーマとは異なりますが、仮説を立てて抜けがないように検証していくことについては共通しています。大学時代に何度も失敗しながら学んだことが、現在の業務に活かされています。
私は大学で自分の専門にとらわれず、自由に目の前の問題に取り組む機会を与えてもらえたことに感謝しています。大学選択はその時点で自分の将来が全て決まってしまうような気持ちになってしまいますが、工学系の学部は自分にとって本当に興味があることは何かを探すことができる場所だと思います。その手段として工学系の道も考えてみてはいかがでしょうか。
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