トップページ > 生レポート!卒業生の声 > 興味を見つけられる場所

生レポート!卒業生の声

興味を見つけられる場所

2021年1月29日
京都工芸繊維大学 工芸科学部 物質工学課程 2014年3月卒業
京都工芸繊維大学 大学院工芸科学研究科 物質工学専攻 2016年3月修了
株式会社島津製作所 勤務 K.H.

 私は現在、元素分析装置に関する分析方法の開発やカスタマーサポートの仕事をしています。お客様が装置の購入を検討されている場合に要求の分析ができるどうかを実際のサンプルを分析して検証します。食品・医薬・環境など、あらゆる分野の製品開発や安全に携わることができ、自分自身で確認した結果から装置や分析方法の提案をできることにやりがいを感じています。

 今でこそ充実して仕事ができていますが、大学へ入学する段階では「実験が楽しいから、化学」という理由だけで進路を決定していました。入学当初、将来どんなことがしたいのか、何になりたいのかは見えていませんでしたが、様々なものづくりを支える学問を学んでおきたいという思いはあり、工学系の学部を選択しました。

 在学中は細胞膜のイオン輸送に関する研究を行っていましたが、開始当初は過去の研究結果が再現しないことや実験の度に結果が変わることに日々悩まされていました。一から実験環境を見直してみると、分析装置の分解能が十分でないことが原因だと判明し、それからは未経験の光学設計を他の研究室の先生にも教わりながら、半年以上かけて分析装置の改良を行いました。これまで取得したデータが使えないことや装置の改良を行う間に本来の研究は全く進まないことの焦りによって、研究の基本となる観察・定性・定量がどれだけ大切かを痛感することとなり、今の仕事を選ぶ大きなきっかけとなりました。

 またこのとき得たものとして、自分で仮説を立て、検証し、気づいた問題を自分の手で解決できたことに大きな達成感がありました。現在の業務は大学時代の研究テーマとは異なりますが、仮説を立てて抜けがないように検証していくことについては共通しています。大学時代に何度も失敗しながら学んだことが、現在の業務に活かされています。

 私は大学で自分の専門にとらわれず、自由に目の前の問題に取り組む機会を与えてもらえたことに感謝しています。大学選択はその時点で自分の将来が全て決まってしまうような気持ちになってしまいますが、工学系の学部は自分にとって本当に興味があることは何かを探すことができる場所だと思います。その手段として工学系の道も考えてみてはいかがでしょうか。

※このページに含まれる情報は、掲載時点のものになります。

関連記事

2020-10-30

工学ホットニュース

病気の類似性から創薬標的や治療薬を探索する機械学習手法を開発-分子ネットワークを有効活用した医薬品開発へ-

九州工業大学情報工学部

2017-04-07

おもしろ科学実験室(工学のふしぎな世界)

仕事をする風船!?

福井大学工学部

2019-03-08

生レポート!大学教授の声

身近な元素から新しいモノを作ろう

岡山大学工学部

2019-04-12

Pict-Labo

次世代マラリア治療薬の設計と短段階合成

東京農工大学工学部

2023-12-07

生レポート!卒業生の声

在学中の方とこれから大学生になる方へ

九州工業大学工学部

2020-12-18

生レポート!大学教授の声

化学はあらゆる産業で必要とされる分野である事を知っていますか?

岩手大学理工学部

京都工芸繊維大学
工芸科学部

  • 応用生物学課程
  • 応用化学課程
  • 電子システム工学課程
  • 情報工学課程
  • 機械工学課程
  • デザイン・建築学課程

学校記事一覧

生レポート!卒業生の声
バックナンバー

このサイトは、国立大学56工学系学部長会議が運営しています。
(>>会員用ページ)
私たちが考える未来/地球を救う科学技術の定義 現在、環境問題や枯渇資源問題など、さまざまな問題に直面しています。
これまでもわたしたちの生活を身近に支えてきた”工学” が、これから直面する問題を解決するために重要な役割を担っていると考えます。