皆さんは周期表を覚えていますか?最新の周期表には1番から118番までの元素が並んでいます。このうち自然界で見つかっている元素は94種類で、残りの24種類は人工的に合成された元素です。しかも、自然界では全ての元素が等しく存在しているわけではありません。地球表層部に存在する元素を分析してみると、重量%の多い順に、O、Si、Al、Fe、Ca、Na、K、Mg、Tiのわずか9元素だけで全体の99%をも占めています。その上、これらの地上に豊富に存在する元素には毒性もほとんどありません。したがって、このような身近に存在する元素だけを使って優れた特性を示す物質を合成することができれば、私たちの生活を支えている様々なモノが安くて、安全に作り出せるようになり、また、環境にも優しい社会が実現できると期待されています。
岡山大学工学部は、機械システム系学科、電気通信系学科、情報系学科、化学生命系学科の4学科から構成されています。私が所属する化学生命系学科では、上述のように身近な素材を化学の目で見つめ直すことで、例えば、電池材料や触媒材料の高性能化につながる新しい構造や特性を発見したり、生物を模倣したクリーンかつ効率的なプロセスを開拓し、新しい物質を生み出す研究をしています。その結果として、環境問題や食糧問題、そして、さらなる医療の進歩など、現代の世界が抱えるさまざまな問題に対し、化学と生物学の視点から解決を目指しています。
このように工学とは、ただ単純に便利で高性能なモノを作り出すことではありません。人々の健康と自然を守り、豊かな生活を育むために必要なモノを作り出す知識や技術こそが、今の社会に求められている工学になります。そのためにも、皆さんは、大学で専門科目に限定せず幅広い分野の知識を育み、ものごとを様々な視点から俯瞰的に見る力を養う必要があります。さらに岡山大学工学部では、技術者、研究者としての倫理観を醸成する工学倫理や、コミュニケーションスキルを育成する技術表現法の講義を3年次に必修科目として開講しています。また、入学したすべての学生は、全学科の講義をひととおり聴講することで、さまざまな工学の世界を垣間見せ、技術者、研究者としての視野を深めます。共に岡山大学で学ぶことで、身近なモノから新しい世界を産み出す工学の世界に、皆さんもぜひ加わってみませんか。持続可能な豊かな未来の実現に向かって一緒にがんばりましょう。
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私たちが考える未来/地球を救う科学技術の定義 | 現在、環境問題や枯渇資源問題など、さまざまな問題に直面しています。 これまでもわたしたちの生活を身近に支えてきた”工学” が、これから直面する問題を解決するために重要な役割を担っていると考えます。 |